科目情報
科目名 美学概論I 
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授業の概要 日本人は視覚的な美しさを単なる「美」とはとらえず、むしろ永続性のない、はかないものとして愛でる傾向がある。同様に、歴史的淘汰をくぐりぬけた美術作品は、見た目の美しさだけでなく、精神に快いと感じさせる別の要素によって支えられることが少なくない。
本講義では、東アジアの東端に位置し、まわりを海に囲まれた日本特有の風土・気候から生まれ、信仰・思想・哲学によって育まれた美術作品の精神性を抽出し、その諸要素を分析していく。 
授業の到達目標 現代の生活様式に埋没し、無意識に過ごしていれば、我々の価値観や嗜好の根幹にある日本人的な要素が何であるのか、それを認識することは容易ではない。本講義によって、歴史に連なる日本人としてのアイデンティティーを確立し、自分自身を知るよすがになればと考える。 
授業計画 日本の風土・気候から生まれ、信仰・思想・哲学によって育まれた美術作品の精神性を抽出し、それを形容する語をテーマに据えて授業を行っていく。

1、ガイダンスー美へのアプローチ、真と贋の精神性ー
2、四季四時、花鳥風月ーもののあわれー
3、神道ー清浄、みそぎ・はらいー
4、仏教ー荘厳、法華経と浄土三部経ー
5、わび、さびー中世的無常観ー
6、吉祥、寿ぎー現世利益ー
7、粋ー江戸の美意識ー
8、鑑戒ー儒教的絵画観ー
9、暢神、游心ー老荘的自適ー
10、気韻生動と骨法用筆ー東洋絵画の本質ー
11、写実と写生
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テキスト・参考書及び自学自習についての情報 テキストは特に定めず、辻惟雄『日本美術史』(美術出版社)などの教科書的概説書を一読しておくのが望ましい。また、本講義の理解を助けるためにも、尾藤正英『日本文化の歴史』(岩波新書668)を読んでおくと良い。 
授業の形式 講義だけでなく、視覚機器(プロジェクター)を使用して美術作品を鑑賞する。 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 出席点と期末試験による評価 
本授業に関する情報  
その他 大学は、社会人となるために必要な教養を獲得する場であり、高校の延長で受講するものではない。遅刻や早退などに関し、人として最低限のマナーを欠く者には単位を与えない。