科目名 |
有機化学概論 |
クラス |
− |
授業の概要 |
化学とは「物質」についての学問であり、我々が物質界に生きている以上、化学は必須の学問である。その中でも有機化学は、生命を顕現する生体物質や身の回りに溢れるプラスチック製品などの素材であり関わらずに過ごすことは不可能な「有機化合物」についての学問である。 この様に重要な学問でありながら、その膨大な化合物の種類と反応の多さ・複雑さ(それに伴う用語や法則の多さ)から敬遠されがちであり、一般人にとっては「亀の甲」ぐらいのイメージしかないのが実情である。実際、有機化学の広範で深い体系を理解するためには、物理化学等も含む相当の知識と論理を身に付けないと難しい。 しかし、その基本的な物性や反応に限って言えば比較的シンプルでシステマチックな原理に基づいており、膨大と思える化合物名や種類も、非常に論理的かつ明快に命名・分類されており、そのルールさえ分かれば必死になって全てを暗記する必要はない。 そこでこの授業では、有機化合物について全体的に把握し、基本的な性質,反応性を理解することによって、より深く広範な有機化学への道標とする。 |
授業の到達目標 |
有機化学の基本的ルールを身に付ける。 ? 物質の成り立ち(構造・結合) ? 有機化合物の命名法や物性について、構造の表記、分類法 ? 代表的な反応の理解 事細かな丸暗記ではなく、有機化学の考え方や背景を理解することにより、より深い内容を自修するための力を身に付けることを目標とする。 |
授業計画 |
上記の目標を達成するため、以下の内容について講義していく。 1. 原子分子の構造、有機化合物の構造 2. 結合と構造。そこから生まれる化合物の性質 ? 混成軌道、共役、分子軌道 3. 有機化学反応論 ? 結合と置換基効果、選択性 ? 求核置換、脱離反応 ? 付加反応 4. 最近の有機化学トピック。生体化学との接点など。 上記には、今までに学んできた化学をベースにしている物も多いため、これまでの学習成果の確認も行う。 また、理解を深め確認するために、演習問題を適宜解いてもらう。
詳細は初回の授業で述べる。 |
テキスト・参考書及び自学自習についての情報 |
参考書は各自の理解度や財力に合った物を選べばいいが、お勧めを以下に挙げておく。 これらは、入門書としては少し難しいが非常に明快にまとめられており、(廉価本に有りがちな反応式と結論だけが列記されているという事が無く)説明も簡潔ながら分かりやすい良い本です。 ただ、正直安くはないので必携とはしない。 1)J. McMurryら著、伊東・児玉 訳、「マクマリー有機化学概説」、東京化学同人、2007 2)P. Y. Bruice著、富岡ら訳、「ブルース有機化学概説」、化学同人、2006 有機化学をとことん勉強したい方には、モリソン ボイド有機化学(上)(中)(下)がお勧め。 ただし、かなり難しい、かつ高価です。 |
授業の形式 |
事細かに事象を記憶したり難解な理論を理解することより、有機化学のオーバービューを掴む事を目的とするので、基本的な考え方に絞ってシンプルに説明し、なるべく広い範囲の内容を講義形式で紹介したいと考えている。そして、その日に学んだ内容に関わる演習課題を解く事により理解を深め、本当に理解できているかを確認する。 |
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) |
期末試験(40%)、日常点(出席点および演習課題など60%) |
本授業に関する情報 |
なし
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その他 |
毎回の授業の終わりに次回の範囲内容を発表するので、その範囲を自習してくると理解がかなり容易になる。自習内容は基本的な内容で構わないが、チラシの裏などに書きなぐるのではなく、必ず講義ノートやルーズリーフに丁寧に分かりやすく書いてくること。そこに、授業の内容を適宜書き足すことにより「自分だけの教科書」ができる。これこそが、より深い学習を目指す際の(あるいは理科教育者として生徒を教導する際の)強力な道標であり、この授業のテキストです。 |