科目情報
科目名 生徒理解の実践と課題 
クラス c 
授業の概要  児童・生徒をいかに理解するかが、生徒指導・教育相談の基本となる。適切な理解があってはじめて、次の対応や指導といった方向性が定まるといえる。深く子どもを理解していくには、子どもが学校場面だけでなく、様々な生活状況でどのような「体験」をしているのかに可能な限り接近し、その子の内面をイメージすることが求められる。生育歴といった発達的な情報と併せて、子どもを取り巻く環境である学校内の人間関係や家庭での人間関係を把握することも重要な情報となる。この授業では、「ケース検討」「ケース会議」を鍵概念にして、実践的な生徒理解の進め方の習得を目標とする。 
授業の到達目標 ・生徒理解の進め方を実践的に習得すること。
・「ケース検討」の意義を理解し、校内で「ケース会議」を活用できること。
・相談場面の体験的な理解。 
授業計画
内容
1オリエンテーション:ケース検討とケース会議
発達面・対人関係面など様々な問題を抱えた児童・生徒、またその保護者について、教員組織が個別にケース検討を進める意義と、実際のケース会議のあり方や進め方について理解を深める。 
2生徒理解に必要な視点:教員にとって何が困難かを明確化する作業
学校場面で児童・生徒あるいは家庭を理解していく上で、教員が難しさを感じるポイントについて、主に現職教員の経験から抽出し、明確にしていく作業を行う。 
3ケース検討の進め方:流れを振り返る作業
研究者教員が作成した教員のためのケース検討・報告用フォーマットを紹介する。学校現場で得られるデータのまとめ方を解説するとともに、資料作成の作業が流れを振り返る作業のひとつとなることを説明する。 
4自己を育む体験と弱める体験
過去また現在の対人関係の質に焦点をあて、精神分析的な自己心理学の知見をもとに、子どもの「自己」を成長させる関係体験と、阻害する関係体験について理解を深める。 
5子どもの自己の発達と人間関係
誕生から現在に至るまでの子どもの「自己」の発達に焦点をあて、発達上の各時期における中心的なテーマと、周囲からの支援のあり方について理解を深める。 
6ケース検討の実際1
小学校の教育実践事例の資料を基に、実際的なケース検討を行い、ケース会議の進め方を体験的に学ぶ。 
7ケース検討の実際2
中学校の教育実践事例の資料を基に、実際的なケース検討を行い、ケース会議の進め方を体験的に学ぶ。 
8カウンセリングマインドに意味はあるのか
学校現場で教員の力量として重んじられる「カウンセリングマインド」について、改めて問い直す。父性・母性の観点を援用しながら、ここの受講者のカウンセリング観を明確化していく。 
9相手の話を「聴く」ことと理解される体験
全受講者がペアを組み、カウンセラー・クライエント役のロールプレイを行い、話を「聞く」ことと、話を「聞いてもらう」ことを体験的に学ぶ。 
10スーパーヴィジョン:振り返りの場の意義
心理療法で行われるスーパーヴィジョンについて理解を深める。生徒理解とともに教員の自己理解の重要性を認識し、教員にとってのスーパーヴィジョンを検討する。 
11ケース検討の実際3
ケース検討用フォーマットを用い、現職教員が自らの教育実践事例を報告し、実践的なケース会議の形式で検討を行う。 
12ケース検討の実際4
ケース検討用フォーマットを用い、現職教員が自らの教育実践事例を報告し、実践的なケース会議の形式で検討を行う。 
13ケース検討の実際5
ケース検討用フォーマットを用い、現職教員が自らの教育実践事例を報告し、実践的なケース会議の形式で検討を行う。 
14校内連携
校内で「ケース会議」を開く意義とともに難しさを再検討し、問題点を明らかにして、今後の対応を討論する。 
15まとめ:ここまでに積み重ねてきたケース検討の実際の経験について、小グループに分かれて討論を行い、ケース検討の意義と改善点についてまとめを行う。 
 
テキスト・参考書及び自学自習についての情報 角田 豊(1999) 『カウンセラーから見た教師の仕事・学校の機能』 培風館
森谷寛之・田中雄三編(2000) 『生徒指導と心の教育 入門編』 培風館 
授業の形式  
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 事例研究や演習・ロールプレイへの積極的な参加 30%
期末のレポート評価               70% 
本授業に関する情報  
その他