科目情報
科目名 人の移動と異文化接触に関する事例研究 
クラス − 
授業の概要 文化接触に関する理論を学ぶとともに、異文化接触の局面の事例をいくつか取り上げ、そこで展開される摩擦や新しい文化の創造過程を検討する。学期の前半は講義を中心として構成され、講師が異文化接触に関する先行研究より事例を紹介し、クラス討議を行う。学期の後半は、学生がそれぞれ担当する項目に関して調査し、発表を行う。調査は原則としてフィールドワークが望ましいが、遠隔地のコミュニティを取り上げる場合には、二次資料の分析も可とする。 
授業の到達目標 人の移動に伴い、文化も移動する。古代より人類は移動を繰り返してきたが、この授業では、特に近代における人間の移動によって生じた様々な文化接触の局面を取り上げ、分析・考察する。近代の人の移動史を知ることは、現代日本の置かれている多文化状況の理解にもつながり、また教育現場における文化摩擦に適当な対処をするための準備になるとも考えられる。 
授業計画
内容
1<オリエンテーション>授業の目的、到達目標および進め方に関するガイダンスを行う。現在の教育現場が異文化接触による様々な課題を抱えていること、そして日本文化が過去からの継続的な異文化接触により形作られてきたことを確認する。 
2<異文化接触による新しい文化の創造@>17世紀以降、大西洋をまたいで広がった黒人奴隷制度は、多数のアフリカ人の新大陸への移動をもたらした。この移動が生んだ「ブラック・アトランティック」と呼ばれる混淆文化について考察する。 
3<異文化接触による新しい文化の創造A>明治維新は、日本の文化を急速に変化させた。近代化の中で、伝統文化が形を変えつつ、新たに「日本文化」として再構築されていった過程を、「講道館柔道」の成立を通して考察する。 
4<異文化接触による新しい文化の創造B>第二次世界大戦直前に、悪化する日米関係の中で日本とアメリカを文化的につなぐ懸け橋となろうとした日系アメリカ人の祭り「二世ウィーク」に関する研究を紹介する。 
5<異文化接触による新しい文化の創造C>第二次世界大戦で「敵国人」とされ、血統に否定的レッテルを張られた北米日系人たちが、戦後に自分のヘリテージを見直すきっかけを与えた例として、北米における和太鼓を取り上げる。 
6<異文化接触による新しい文化の創造D>1970年代アメリカで、人種差別と対抗するひとつの手段として、アフリカ系アメリカ人たちが、アジアのカンフーや空手に惹きつけれられた。マイノリティの文化を通じた共闘作戦について学ぶ。 
7<異文化接触による新たな文化の創造E>ブラジルで現在展開されているパラナ民族芸能祭において、日系ブラジル人が日本文化と現地文化をどのように融合しているか、その現状を分析する。 
8<フィールドワーク発表@>在日韓国人・朝鮮人コミュニティにおける文化活動について調査し発表する。 
9<フィールドワーク発表A>日系ブラジル人・ペルー人など南米からの日系人コミュニティにおける文化活動について調査し発表する。 
10<フィールドワーク発表B>中華街やその他の在日中国人コミュニティにおける文化活動について調査し発表する。 
11<フィールドワーク発表C>同和地区における文化・教育その他の活動について調査し発表する。 
12<フィールドワーク発表D>沖縄人コミュニティにおける文化活動について調査し発表する。 
13<フィールドワーク発表E>外国語教師のコミュニティにおける文化活動、その他の活動について調査し発表する。 
14<フィールドワーク発表F>日本の学校現場で行われている、異文化接触を推進する文化活動、その他の活動について調査し発表する。 
15<まとめ>異文化接触が生み出すさまざまな現象について包括的に討論する。 
 
テキスト・参考書及び自学自習についての情報 講義、発表のために必要な題材を事前に指示、プリント・パワーポイントなど適宜用意する。 
授業の形式  
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 出席およびクラスでの討論への参加(20%)、クラス発表(30%)、期末レポート(50%) 
本授業に関する情報  
その他