科目情報
科目名 近現代史特講 
クラス − 
授業の概要 ビルマ(現ミャンマー)を例に、東南アジアの近現代史を解説する。なるべく話を広げ、イギリスの植民地政策、日本の占領政策、占領された他の地域との比較、ODAの問題など、ビルマ一国史にとどまらない内容を扱っていく。授業は板書を中心とし、プリントで写真や地図を提示する。また、プロジェクターで関連映像やフラッシュを見てもらう。 
授業の到達目標 イギリス植民地主義の性格(貿易よりもむしろ金を貸すことで利潤を得ていた)や、今でもくすぶる「大東亜戦争肯定論」の問題点を理解すると共に、異文化理解が、東アジアや欧米を理解するだけで済むものではないことを意識できるようになる。 
授業計画
内容
1ビルマの概要−ビルマとミャンマーという言葉、自然、地理、言語、民族 
2イギリスの植民地政策とビルマ−コンバウン王朝、イギリスとの3度の戦争 
3世界情勢の変化−アメリカのウィルソン大統領と民族自決の理想 
4タキン党の活動−ストライキの指導から武装蜂起の準備まで 
5南機関とBIA(ビルマ独立義勇軍)−日中戦争とビルマルート 
6日本軍のビルマ侵攻とBIA行政−南機関に善意はあったか? 
7日本の軍政−占領政策の特質、他の占領地域との比較 
8抗日運動の始まり−パサパラ(反ファシスト人民自由連盟)の対日蜂起 
9復帰してきたイギリスとその統治方針−パサパラとの軋轢 
10イギリスの攻勢と妥協−独立の容認へ 
11アウンサンの暗殺とビルマの独立 
12イギリスの帝国意識の行方−保たれた帝国意識とスエズ戦争による転換 
13ビルマ国軍の時代−国軍の政権奪取(1962年〜) 
14学生デモとその帰結−1988年のクーデターとアウンサンスーチー 
15今日の日本とビルマ−親日国というイメージの妥当性、問題になっていたODA 
 
テキスト・参考書及び自学自習についての情報 テキストは特に指定しない。自学自習には、木畑洋一編『イギリス帝国と20世紀』(全5冊)、根本敬『アウン・サン』(岩波書店)、武島良成『日本占領とビルマの民族運動』(龍渓書舎)、佐々木雄太『イギリス帝国とスエズ戦争』(名古屋大学出版会)、工藤年博編『ミャンマー経済の実像』(アジア経済研究所)などを読んでほしい。 
授業の形式 講義 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 出席点(30%−7割の出席を単位認定の最低条件にする)とレポート(70%)。 
本授業に関する情報 この授業で触れるイギリスの金融帝国主義は、帝国主義と植民地獲得が可分だったことを示唆している。このことは、近代史の大枠の捉え方に関わる問題であり、概要を是非知っておいてほしい。 
その他 平成18年度以降入学生用。