科目情報
科目名 国際理解教育に関する事例研究 
クラス − 
授業の概要 国際化あるいはグローバル化時代といわれる今日の日本においては、子どもたちにも海外体験あるいは海外生活に触れる機会は増加しており、また国内の外国人人口の増加により、国外に出なくても異文化と接触することを余儀なくされる場合が増えている。異文化接触が子供の心理と発達にどのような影響を与えるかを、カナダ、ハワイ、トンガ、そして日本などの事例研究を通じて考察し、また多文化社会のなかで発展してきた異文化教育への試みを学ぶ。 
授業の到達目標 1.さまざまな異文化局面での事例を通して、異文化との出会いが子供の発達と心理に与える影響について考察する。                2.多文化社会における日本語、日本文化に関する教育の事例を通し、異文化教育の実践的方法について考察する。                    3.複数文化を身につけることの教育的意義について考察する。 
授業計画
内容
1<オリエンテーション国際理解教育の意義>
授業の到達目標や授業の進め方のガイダンスを行う。国際理解教育の必要性と意義について考察する。 
2<文化とは何か?>
異文化コミュニケーションの意義やそこから生じうる問題点を考えるための前提として、文化が人間の生活にどのような働きをしているかを考察する。特に生活文化と伝統文化の違いについて明確にする。 
3<子どもの認識の発達と文化>
遺伝主義と環境主義の議論を踏まえ、文化が子どもの発達に与える影響をいくつかの事例をもとに考察する。 
4<文化の継承と創造>
子どもの発達の過程の議論を踏まえ、文化が社会のなかでどのように継承されるか、事例研究をもとに考察する。また、新しい世代において、文化は継承されるのみならず、新たに創造されるという点にも注意を促す。 
5<子どもの異文化体験@>
異文化との接触を体験した子どもの認識と発達を考察する第一の事例として、韓国人留学生の子供たちの例を取り上げる。名前、言語、習慣などの違いを子供たちがどのように認識し、それに反応するのかに注意する。 
6<子どもの異文化体験A>
子どもの異文化接触の第二の事例として、カナダの学校を体験した日本人児童の事例を取り上げる。言語、習慣などとともに、人種の違いがどのように認識されるかを考察する。 
7<子どもの異文化体験B>
子ども時代の異文化接触が後にどのような影響を与えるかを考察する。事例として、ハワイの日系二世の文化変容と、インタビューを用いた、二世の子ども時代の記憶の分析を事例として取り上げる。 
8<国際理解教育への試み@>
子どもたちの異文化接触をスムーズにし、国際理解を促進するために行われている事例を研究する。第一の事例としては、多文化社会であるカナダの日本語学校の教育を取り上げる。 
9<国際理解教育への試みA>
国際理解教育への試みの第二の事例として、トンガにおける日本語教師の体験を事例として取り上げる。カナダの場合と異なり、教育対象が日本人や日系人ではなく、現地の子どもたちである点から比較研究する。 
10<国際理解教育への試みB>
国際理解教育への試みの第三の事例として、南米から来日した外国人児童への日本語教育の事例を取り上げる。 
11<国際理解教育の教材づくり@>
国際理解を助ける教材開発に関して、いくつかの事例を考察する。第一の事例として、「セサミストリート」の独創的な番組制作理念を分析した研究を考察する。 
12<国際理解教育の教材づくりA>
国際理解を助ける資料として、異なる文化において数の表現がどのように異なるかを指導した事例を紹介する。その他の材料として、動物の鳴き声やボディーランゲージなどの違いも考察できる。 
13<国際理解教育の教材づくりB>
異文化における子どもの生活文化の違いを分析する材料として、異なる国の漫画を分析した研究事例を紹介する。 
14<国際理解教育の意義>
複数の文化を身につけることが人間の発達や生活にどのような影響を与えるかをまとめ、国際理解教育の必要性と意義について考察する。 
15<総括:国際理解教育の方法と課題>国際理解を推進するための具体的方法について日本の現状に即して検討し、考えうる課題についても考察する。 
 
テキスト・参考書及び自学自習についての情報 テキスト:井上智義編著『異文化との出会い!子どもの発達と心理―国際理解教育の視点から―』(ブレーン出版、2002)
その他の教材は、適宜プリント配布を行う。 
授業の形式  
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 出席およびクラスでの討論への参加(20%)、クラスでの発表(30%)、期末レポート(50%) 
本授業に関する情報  
その他