科目名 |
情意発達の心理学特講 |
クラス |
− |
授業の概要 |
人間の行動は3つの要素で説明可能である。すなわち生命進化の系統発生要素と受精直後から始まる後成発生要素,誕生後から始まる個体発生要素である。3つの要素は輻輳的でありながらも交互作用的に働き,人間の心を見えにくくしているが,これを進化心理学,行動生態学,脳解剖学,感情心理学,発達心理学などからevidence basedに論じる。また,子どもたちの認知発達や感情発達を論じながら,家族環境やアタッチメント,内的ワーキングモデルと社会的行動の発達を考え,なぜ今,「キレ」る子どもや軽度発達障害の子どもが増加しているのか,その理由に迫りたい。 |
授業の到達目標 |
2002年の文部科学省調査によると,全就学児童の6.3%が何らかの発達支援を必要としている。その理由は様々であるが,16人に1人が支援を必要としているのである。また,非常に初期から学習意欲が欠如している子どもたちも増加している。なぜこのような状況に立ち至ったのか,原因はカオス的につながっている。したがって,その全体像を把握することは極めて困難であるが,近年増加の一途をたどっている軽度発達障害を含み,必ずしもわかっているとは言えない発達障害をつくり出す原因について,胎児期や新生児期・乳幼児期の脳機能や認知発達を概観しながら,evidenceとなる情報・知識を得ることを目標とする。 |
授業計画 |
第1回 生命進化と個体発達 第2回 社会的存在としてのヒト:思考・意識・言語 第3回 脳の構造と機能の進化 第4回 情動・感情の神経生理 第5回 胎児期発達 第6回 新生児期発達心理学 第7回 乳幼児の心の発達 第8回 こころの理論と共感性発 第9回 発達障害概論 第10回 関係性障害I(自閉症スペクトラム) 第11回 関係性障害II(ADHD) 第12回 関係性障害III(CD,ASPD)ソーシャル・スキル不全(児童虐待) 第13回 アタッチメントの基礎理論 第14回 親子関係の発達障害(RAD)理 第15回 現代社会の精神病理(児童虐待と家族崩壊) |
テキスト・参考書及び自学自習についての情報 |
特にテキストは定めないが、以下を自学のための参考書とする。
須田治・別府哲「社会・情動発達とその支援」ミネルヴァ書房 藤永保・森永良子「子育ての発達心理学」(実践子育て学講座I)大修館書店 高橋悦二郎「子育ての保健学」(実践子育て学講座II)同 大日向雅美・荘厳舜哉「子育ての環境学」(実践子育て学講座III)同 |
授業の形式 |
基本的に講義形式とするが、部分的に参加者の意見発表を求めることもある。 |
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) |
小テスト20%+期末テスト80% |
本授業に関する情報 |
特記事項なし |
その他 |
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