科目名 |
風土と文化 |
クラス |
− |
授業の概要 |
風土の定義については二通りの考え方がある。一つは、土地の気候・地形・地質・風景などを総称する場合であり、もう一つは、自然と生活が一体となって織りなす土地柄をさす場合である。本授業では前者の立場に立ち、風土の違い、すなわち、自然環境の違いが文化の違いをもたらしたとの諸説を紹介する。本年は日本国内の文化圏について論ずる。 |
授業の到達目標 |
自然環境と人間との関係を理解する。 1.自然環境が人種・民族・文化にも影響を及ぼすことを知る。 2.自然環境が変化してきたこと、それに応じて人間生活も変化してきたことを知る。 3.日本列島にも自然環境の違いにもとづく幾つかの文化圏が存在することを知る。 |
授業計画 |
1.はじめに(「風土」の定義) 2.自然環境と生活(人間は衣食住のみならず交通や疾病等、全てにおいて自然環境に左右されている) 3.氷河時代とモンゴロイド(人間が氷河時代の自然環境に適応した結果として人種が形成された) 4.日本人の身体的特徴(日本民族の多くは、寒冷気候下で形成されたモンゴロイドである) 5.日本人の地域的差異(日本民族の身体的特徴には、血液型・指紋・耳垢などに地域差がある) 6.氷河時代の文化圏(大陸から異なる二つのルートで、日本に異なる旧石器文化がもたらされた) 7.縄文時代の文化圏(森林の樹種が異なれば、森に依存する狩猟採取の文化も異なるものとなる) 8.弥生時代の文化圏(熱帯・亜熱帯性の作物である稲が導入された) 9.サケ・マス文化論(鮭・鱒の捕獲が容易だった東北日本では水田稲作文化の浸透が遅れたという説) 10.東北日本文化圏と西南日本文化圏(今も残る石器時代の文化圏) 11.瀬戸内文化圏(「頭長幅指数」「溜池の分布」「ウドン食」「花崗岩」「火山なし」「少雨気候」) 12.方言と地名の分布(「バカ」と「アホ」、「居る(いる)」と「居る(おる)」、「沢」と「谷」その他) 13.食文化の地域差(「ソバ」と「ウドン」、「マック」と「マクド」、「焼肉」の肉は何の肉?その他) 14.その他の文化圏(照葉樹林文化圏、ブナ林文化圏、青潮文化、日本海側と太平洋側の文化の違い) 15.期末試験 |
テキスト・参考書及び自学自習についての情報 |
テキスト:『詳解現代地図帳』(二宮書店) 参考書:鈴木 秀夫 著「森林の思考・砂漠の思考」NHKブックス 安田 喜憲 著「日本文化の風土」、「気候と文明の盛衰」朝倉書店 |
授業の形式 |
講義 |
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) |
小テスト(30点=1回10点満点を3回)、通常点(20点)、期末試験(50点)の合計点で評価する。小テストは持ち込み不可とするので、復習や質問等によって理解を深めておく必要がある。また、期末試験はノート、地図帳、配布資料の持込を可とするが、詳細な内容を要求するので、ノートのとり方には特に工夫を心がけること。板書の転記にとどめていてはテストに対応できない。 |
本授業に関する情報 |
特記事項なし |
その他 |
自然環境そのもの(特に気候や地形)については「自然地理学」、現代における自然環境と人間社会との関係については「地誌学概論」で概説する。 |