科目情報
科目名 地理学 
クラス − 
授業の概要 風土の定義については二通りの考え方がある。一つは、土地の気候・地形・地質・風景等を総称する場合であり、もう一つは自然と人間生活が一体となって織りなす土地柄をさす場合である。本授業では前者の立場に立ち、風土の違い、すなわち自然環境の違いが文化の違いをもたらしたとの諸説を紹介する。 
授業の到達目標 自然環境の違いが文化や歴史の違いをもたらしたことを理解する。また、異なる自然環境のもとに形成された異文化の深層を理解することは困難であり、異文化理解とは異なる文化の存在を認めることであることを認識する。 
授業計画
内容
1風土の定義 
2和辻哲郎の『風土』(モンスーン的風土、砂漠的風土、牧場的風土) 
3Huntington の『気候と文明』(気候の違いが文明の程度の違いをもたらす?) 
4風土と人種(自然環境が人種を形成した) 
5氷河時代の終焉と農耕・牧畜の始まり(自然環境の変化が人間社会に発明をもたらす) 
6古代文明の成立(すべての大河のほとりに古代文明が栄えたわけではない) 
7古代文明の崩壊(約3500年前、古代文明はほとんど同じ時期に滅んだ) 
8風土と宗教I(宗教の成立:呪術から多神教、そして一神教) 
9風土と宗教II(乾燥地域の宗教であるユダヤ教とキリスト教) 
10風土と宗教III(砂漠で成立したキリスト教と森で成立した仏教の比較) 
11風土と宗教IV(典型的な乾燥地域の宗教であるイスラム教) 
12日本と西欧の類似点と相違点(両地域ともに千年前は僻地、現在は先進地域) 
13風土と人間社会(人類が多様な社会を作り上げてきた理由) 
14まとめ 
15期末試験 
 
テキスト・参考書及び自学自習についての情報 テキスト:『詳解現代地図帳』(二宮書店)
参考書:鈴木 秀夫 著『森林の思考・砂漠の思考』NHKブックス;『風土の構造』、『超越者と風土』大明堂
   安田 喜憲 著『気候と文明の盛衰』、『日本文化の風土』朝倉書店
   和辻 哲朗 著『風土』岩波文庫
   ジャレッド・ダイアモンド 著(倉骨 彰 訳)『銃・病原菌・鉄』(上・下)草思社 
授業の形式 講義 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 小テスト(30点=1回15点満点を2回)、通常点(20点)、期末試験(50点)の合計点で評価する。小テストは持ち込み不可とするので、復習や質問等によって理解を深めておく必要がある。また、期末試験はノート、地図帳、配布資料の持込を可とするが、詳細な内容を要求するので、ノートのとり方には特に工夫を心がけること。板書の転記にとどめていてはテストに対応できない。  
本授業に関する情報 なし 
その他 自然環境そのもの、特に気候や地形に興味のある者は「自然地理学」を受講することを薦める。