科目情報
科目名 社会調査論 
クラス − 
授業の概要  「調査をする」という行為は、実証的な社会学を学ぶときに基本的かつ重要な営みです。また、調査能力自体は、さまざまな場面で強く求められるスキルの1つだといえます。本講義では、フィールドワークの基本的な考え方を通して社会調査を理解したうえで、フィールドワークの方法とそれによって記述されたエスノグラフィーとの関係にも関心を向けながら、新聞や雑誌の記事、ルポルタージュ、人類学・社会学のモノグラフなどとフィールドワークとの関係について議論を深めます。  
授業の到達目標  講義の前半では、社会調査を認識行為としてとらえ、認識をめぐるさまざまな状況を検討し、それが必ずしも一義的でないことを考えます。後半では、「社会学的な問い」が生まれるそれぞれの場所で、調査対象に応じた調査方法の問題点についても議論します。固有名詞を伴った具体的な経験とともにある社会調査の意義や面白さを共有しながら、現代世界を複眼でみる力を養います。 
授業計画
内容
1イントロダクション 
2社会調査とはなにか
 日常にあふれる「調査」,社会を調査することの意味,社会調査の歴史  
3質的調査と量的調査(1)
社会調査の目的・倫理,量的調査とは,質的調査とは  
4質的調査と量的調査(2)
 調査の方法とテーマ,社会学・民俗学・文化人類学のモノグラフ  
5私たちの認識と社会調査による社会事象の認識(1)
 アユの死骸が意味するもの,教室の状況を記述する,知ることと理解すること  
6私たちの認識と社会調査による社会事象の認識(2)
 同化と異化,ステレオタイプ,風に吹かれる紙切れと逃げ惑う男,背後仮説  
7事実の語られ方(1)
 映画「羅生門」のなかの語られる事実  
8事実の語られ方(2)
 羅生門的手法,複合的自伝の方法,質的調査によってわかろうとすること  
9社会調査がつくる「現実」(1)
 教室のピグマリオン,アナウンスメント効果,予言の自己成就  
10社会調査がつくる「現実」(2)
 サモアの思春期,楽園の虚実,共同行為としてのフィールドワーク  
11文化を記述するということ
 戦士の刻印,「虐待」か「文化」か,文化相対主義  
12エスノグラフィーの地平(1)
 方法論,エスノグラフィーの歴史,エスノグラフィーブーム,ライティング・カルチャー,民族誌家の魔法  
13エスノグラフィーの地平(2)
 フィールドワークの窮状,共感・関与,歴史化・政治化・日常化  
14フィールドワークの10か条 
15まとめ 
 
テキスト・参考書及び自学自習についての情報 テキストは特に指定しません。参考文献は講義中に適宜紹介します。 
授業の形式 講義 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 書評レポートと平常点(演習課題等の評価)により総合的に評価します。詳細については、講義時に説明します。 
本授業に関する情報 なし 
その他 本講義は「社会学研究」との合同授業です。