科目情報
科目名 美術史I 
クラス − 
授業の概要 美術史とは歴史学研究における方法のひとつで、現在にまで伝わる美術作品を資料として分析し、各時代の人間の営為や精神を見つめることを目的とした学問である。本講では日本の主要な美術作品を挙げ、資料批判を交えながら日本文化の諸様相について概観する。また、東アジアにおける日本という観点から、中国大陸からの影響と日本の独自性についても考えたい。なお、美学概論1(川見典久先生担当)の前編として扱うため、両方併せた受講を望む。 
授業の到達目標 歴史を学ぶ意義は、現代に生きる我々を客観的に見つめ、身をただし、自らを律するための「鏡(鑑)」となり得るところにあり、単なる知識の修得のみに終始するのではない。美術作品を通じて過去の人間精神を知り、現代生活をより多様で豊かに過ごすための糧となるようにしたい。また、既成の概念や先入観に頼るのではなく、自律性の高い美術鑑賞能力を養うことを目標とする。 
授業計画
内容
1ガイダンスー美術品、文化財とはー 
2飛鳥時代ー日本仏教と美術1ー 
3白鳳時代ー日本仏教と美術2ー 
4奈良時代1ー日本仏教と美術3ー 
5奈良時代2ー日本仏教と美術4ー 
6奈良時代3ー日本仏教と美術5ー 
7神道と美術ー清浄、みそぎ・はらいー 
8平安時代1ー日本仏教と美術6(密教)ー 
9平安時代2ー日本仏教と美術7(浄土教)ー 
10平安時代3ー日本仏教と美術8(法華経)ー 
11平安時代4ー絵巻物1ー 
12平安時代5ー絵巻物2ー 
13四季四時、花鳥風月ーもののあわれー 
14鎌倉時代1ー日本仏教と美術9ー 
15鎌倉時代2ー肖像画ー 
 
テキスト・参考書 テキストは指定せず、参考書は講義に応じて随時紹介する。受講にあたり、辻惟雄『日本美術史』(美術出版社)などの教科書的概説書と、日本史の概説書を一読しておくこと。また、本講の理解を助けるためにも、尾藤正英『日本文化の歴史』(岩波新書668)を読んでおくと良い。 
自学自習についての情報 美術を学ぶ者として、過去の人々がどのような意識で「もの」を作ってきたのかを知らなければ、「個性」といった言葉に慢心した驕りへと繋がりかねない。日頃から美術館や博物館の展覧会、寺社仏閣や旧跡に足を運び、主体的に興味を広げていくことを望む。 
授業の形式 講義だけではなく、視覚機器(プロジェクター)を使用して美術作品を鑑賞する。 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 期末試験による評価
1/3以上欠席した者は単位を取得できない。 
その他 美術史は歴史学の一視点であり、「すぐにわかる」といった底の浅いものではなく、美術評論に終始するものでもない。日本史の専門用語も多数出てくるので、受講には日本史の基礎的知識が当然のことながら必要となる。
また、大学は社会人となるために必要な教養を自律的に獲得する場であり、高校の延長で受講するものではない。言うまでもないが、私語や遅刻、早退などに関し、人として最低限のマナーを欠く者には単位を与えないので、覚悟して受講すること。