科目情報
科目名 現代社会と学校教育 
クラス c 
授業の概要 多種多様な問題を生み出し、その解決の道筋が不透明になっている今日の学校教育の在り方について、公教育・学校教育の本質的な認識や社会変化によるその転換課題の整理から明らかにし、受講生のディベートを通じて具体的な問題解決を検討する。およその課題領域と問題の所在・対立軸は設定するが、受講生の問題意識によりクラス毎に多様な課題設定を可能とし、学校教育の在り方についての主体的な考察を深める。なお,本科目は本研究科における基礎教養科目であると同時に1年次の「ホーム・ルーム」科目として位置づけ、院生のガイダンスや教員との連絡調整の役割を担うものである。研究科長と各コースの専任教員3名が全体並びに各クラスを担当する。 
授業の到達目標 現在に至る社会変化の中で、その社会変化の本質や構造の分析を踏まえ、学校や教師がどのような役割変容を必要としているかを具体的な学校教育課題に対する主体的な考察(講義を踏まえたディベート)を通して理解することができる。 
授業計画
内容
1全体概要・オリエンテーション:今日の学校教育の特質や問題状況を概観し、教員の立場からどのような課題解決を図っていくかの視座を構築していくという本科目の全体を示し、講義と受講生のディベートによる本科目の持ち方について提示する。 
2社会変化と学校教育課題(1)ー講義:社会の中で必要とされる教育機能,とりわけ学校教育が果たしてきた役割を概観した上で,1980年代からの教育改革を引き起こした社会的背景と問題意識を明らかにし,改革論議の基本的枠組みと方向性を理解する。 
3社会変化と学校教育課題(2)ー講義:「地方分権」「規制緩和」「情報公開」「参加」そして「評価」が今日の教育改革の機軸とされてきた背景を明らかにし、こうした方向において学校教育がいかなる改革を求められているかを検討する。 
4課題設定と受講生のグルーピング:課題関心に応じて、次回以降の3つの学校教育課題別に受講生をグルーピングし、その解決策についての賛否の論理構造の提示により、ディベートの枠組みを設定する。 
5地方分権・規制緩和と学校(1)(講義ー課題設定と概要):現在に至る過程で進められてきた地方分権や規制緩和が学校教育改革としてどのような課題を提示したきたかを明らかにし、その具体的な課題として義務教育費の負担の在り方や学習指導要領の編成、教科書検定の在り方を問題とする 
6地方分権・規制緩和と学校(2)(ディベートーグループでの打ち合わせ):各クラスでディベートの賛否のグループで立論の準備を行う。 
7地方分権・規制緩和と学校(3)(ディベートー国による学習指導要領の編成、教科書検定の是非):国ー文科省による学習指導要領の編成、教科書検定の在り方の是非について、受講生がディベートによって検討し、これからの学校教育の在り方を考察する。 
8新学習指導要領の意義と問題点(1)(講義ー課題設定と概要):「学力低下」や「ゆとり教育の見直し」に関わって改訂された新学習指導要領の意義を明らかにし、今後各学校でそれに基づく教育課程を編成する上での課題、問題点を検討する。 
9新学習指導要領の意義と問題点(2)(ディベートーグループでの打ち合わせ):各クラスでディベートの賛否のグループで立論の準備を行う。 
10新学習指導要領の意義と問題点(3)(ディベートー「ゆとり教育見直し」の是非と学力水準):学力水準の維持、向上の関わって問われてきた「ゆとり教育」の是非について、受講生がディベートによって検討し、これからの学校教育の在り方を考察する。 
11生徒指導における教師の役割(1)(講義ー課題設定と概要):問題行動だけではなく、特別支援を必要とする子どもの増大や多様な価値観をもつ保護者の学校への関わり等、今日の学校における生徒指導の課題を整理し、教師の役割や行動の在り方を検討する。 
12生徒指導における教師の役割(2)(ディベートーグループでの打ち合わせ):各クラスでディベートの賛否のグループで立論の準備を行う。 
13生徒指導における教師の役割(3)(ディベートー問題行動に対する「出席停止」の是非):多様な状況における学校、教師の生徒に対する指導の在り方を検討し、問題行動に対する「出席停止」措置をとることの是非をディベートを通して考察する。 
14各クラスでのまとめ:3回のディベートにおいて取り上げた学校教育の基本的な在り方に関する課題を相互に連関付け、今後の学校教育の改革課題を論議する。 
15全体まとめ:担当教員からまとめのコメントを行うとともに、受講生個々が本科目全体を通して得られた学びと成果について確認,交流をする。 
 
テキスト・参考書 各テーマ毎に、それに関する法規、統計等の資料を用意する。 
自学自習についての情報 3つの論題でディベートを行う。それぞれのディベートについて打ち合わせの時間は設定するが、立論等にあたっての資料の収集、整理や論理構築にあたっての協議は授業外の時間を使って行う。この準備作業が授業での学びの質に深く関わってくる。基本となる文献等は講義の中で紹介するが、それぞれが主体的に論考を進めることを期待している。求めがあれば必要な助言も行う。 
授業の形式 講義及び討議(ディベート)  
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) ディベートにおける発言、発表(50%)、終了時のレポート(50%) 
その他 特記事項無し