科目情報
科目名 研究開発と研修の組織化 
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授業の概要 学校の自律化を促し、また特色化を図るには、個々の学校が教育課題などの学校課題に応じた研究・研修課題を設定し、それを効果的・効率的に遂行できるシステムを開発することが必要とされる。このために研究組織の整備と研究主任の高度な力量が求められ、また校長の経営戦略の明確化と力強いリーダーシップが不可欠である。学校の取り組みの実態分析や先進校の事例分析を通して、「わたしの校内研究戦略」を設計する力量を形成するために必要な知を提供、かつ創造する。 
授業の到達目標 教員および学校づくりにとって校内研究・研修の持つ意義について理論的、実践的理解を深めるとともに、校内の研究・研修システムを自ら設計し、それを主体的に推進していく力量を形成する。さらに「わたしの校内研究戦略」を設計しうる力量を形成することを目指す。 
授業計画
内容
1授業概要・オリエンテーション:本科目の全体構造を提示し、学校における研究・研修の意義、重要性を明らかにする。とりわけそれが日本の学校文化・教員文化として定着し、学校の質的レベルを担保し、内外から高く評価されている文化・伝統であることを確認するほか、それを持続的、創造的に展開、活用するための校内研修の戦略とシステムを考察することの意義を明確にする。 
2自律的学校経営の構築と校内研修:学校経営の自律性を確立するためには、各教員の研究力と学校の研究力(研修体制)が重要な意味を持つ。現代の学校経営改革において、このことをどう読み、設計するかについて考えていく。また校内研究・研修に対する教育政策の新たな動向に言及する。 
3学校づくりと研究戦略:学校づくりとしての学校力の構築という観点から、校内研修の役割とその設計、およびその方法について考察する。 
4学校の教育課題と校内研修:校内研修をどう設計し、実施運営するかについて、校内研修の現状を踏まえ、そこから新たな校内研修のかたちを考える。その際、学校ではどのような教育課題をもち、それがいかなる研究戦略として表現し、校内研修課題として設定されているか、またいかなる研修システム、マネジメントとして展開されているかについて明らかにする。 
5教員の職能成長と校内研修:高度専門職業人とされる教員は、絶えずその専門性を高め、また新たな課題に対応することが求められる。それを校内研修としてどう対応し、どう設計、実施するかについて議論を深める。若手教員の成長と校内研修、ベテラン教員の活用などのテーマにも言及する。 
6校内研修の歴史と外国の校内研修:我が国の校内研修の歴史、外国の校内研修、および校内研修の研究について検討する。 
7成人学習論と校内研修の設計:成人の学習、成人学習論という観点から、教員の職能成長をとらえることで、これまでになかった職能成長の在り方や職能成長課題、そして新たな校内研修の視野が生まれる。 
8校内研修と研究主任・教務主任・指導教諭の役割:各学校で研究開発をどのように展開し、また研究組織をどのように開発し、どう機能させているかについて、スクールリーダーや研究主任などミドルリーダーの役割という観点から考える。 
9カリキュラム開発、学校組織開発と校内研修:教員と学校の主たる関心である授業とカリキュラムの開発、改善に校内研修はどのような貢献をしうるかについて考える。 
10学校組織開発と校内研修:学校経営における組織開発の意義を考えながら、校内研修がそれにいかに貢献しうるかを考える。 
11学校改善と校内研修の設計:学校改善、学校の組織力向上に対する校内研修の意義を読み解く。 
12これまでの授業を踏まえ、そこでの論点を整理し、学校経営と校内研修の在り方を事例を通して議論を深める。 
13自律的学校経営の構築にとって、どのような研究戦略が必要かについて考え、これを「わたしの校内研究戦略」として構想する。 
14「わたしの校内研究戦略」の発表。それをめぐり、議論する。 
15「わたしの校内研究戦略」をより精緻化し、最終リポートを完成する。 
 
テキスト・参考書 テキスト:北神正行・木原俊行・佐野享子『学校改善と行内研修の設計』学文社、2010

参考:山崎・榊原・辻野『「考える教師」−省察、創造、実践する教師』学文社、2012
   小島弘道他『教師の条件−授業と学校をつくる力(第3版)』学文社、2010
日本教育方法学会編『日本の授業研究 上・下』学文社、2009
   小島弘道『教務主任の職務とリーダーシップ』東洋館出版社、2003
小島弘道編『研究主任の職務とリーダーシップ』東洋館出版社、1996
   小島弘道編著『若い教師とベテラン教師の間』ぎょうせい、1990
小島弘道編著『日本の若い教師』全3巻、エイデル研究所、1987 
自学自習についての情報 小島弘道他『教師の条件−授業と学校をつくる力(第3版)』(学文社)
を参考に授業者の教師論・教職論・専門職論を学んでほしい。本書は国内だけでなく中国でも翻訳され広く読まれている書である。
 
授業の形式 テキストを丁寧に"読む"ことを通してものごとの本質を探り、ものごとを極め、ものごとをかたちにする力を育成する。 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 授業での報告、発表(70%)、修了レポート(30%) 
その他 できれば修了した現職者に実践事例を聞いてみたい