科目情報
科目名 社会学特講 
クラス − 
授業の概要  授業では、環境問題を事例にして、地域社会や社会問題に対する社会学的な見方を学びます。環境社会学は、環境問題が生じている現場や、自分たちの暮らしを充実したものにしたいという人びとの要求を現場を歩きながら考え、理論を構成してきました。「被害的環境問題」から「創造的環境問題」へと環境の捉え方が変化しつつあることに関心を向けながら、この現場で考えた「おもしろさ」を糸口に議論を進めます。 
授業の到達目標  地球という限られた空間のなかで人間は、社会と自然との関係性のなかで暮らしてきたし、これからもその可能性を創造していかなければならないといえます。この講義では、なぜ、環境問題や「環境」という課題が生起するのか、その要因や社会的メカニズムを理解することからはじめ、これにどのように対処することができるか、問題に向き合うさまざまな地域の取り組みのなかから、具体的な政策オプションを考える力を身につけます。 
授業計画
内容
1イントロダクション 
2環境社会学とは
 環境社会学の定義と目的,文化と社会の違いと環境政策,環境社会学の主要な問題領域 
3環境問題とエコシステム−人びとの暮らしと自然−
自然と人間とのつきあい,沈黙の春,社会システムとエコシステム,ゾーンニングと緩衝地帯 
4生活の現場という発想−ネパールの山村社会の経験から考える−(1)
 開発という善行/自然保護という正義,ウォーデンシステムとナワシステム,住民の自然観,生活世界のモノカルチャー化 
5生活の現場という発想−ネパールの山村社会の経験から考える−(2)
 環境問題として対象を認識する行為と生活世界の認識方法,近代知の功罪,近代主義を超克する視点と実践(生活知) 
6生活環境主義というアイデア(1)
 生活環境主義の理念と方法,自然環境主義(エコロジー論)/近代技術主義(近代化論),「エビの履歴書」から考える 
7生活環境主義というアイデア(2)
 経験論,日常的な知識,3つの行為基準,共同占有権,環境権,住民が生活する権利 
8被害構造論−水俣病を事例に−(1)
 熊本水俣病,もやいの海,被害者一家の40年,水俣病は終わらない 
9被害構造論−水俣病を事例に−(2)
 加害の構造・被害の構造,被害者運動,社会構造とセルフ,アミニズムとエコロジー 
10受益圏・受苦圏論−大規模開発計画と加害者・被害者−(1)
 開発問題における正当化の視点,テクノクラートの視角と生活者の視角,新幹線公害,受益圏・受苦圏 
11受益圏・受苦圏論−大規模開発計画と加害者・被害者−(2)
 受益圏・受苦圏論の意義と課題,被害構造の複合性とその変動過程,豊島事件 
12社会的ジレンマ論−えりも岬に春を呼べ・北の家族の40年−(1)
 環境問題の歴史的変化と構造的把握,現代の環境問題の特徴,共有地の悲劇 
13社会的ジレンマ論−えりも岬に春を呼べ・北の家族の40年−(2)
 集合財をめぐる合理性の背理,牧人のジレンマ,囚人のジレンマ,ビルト・インされた選択肢 
14ごみ問題の先にみえるもの
 環境紛争,合意形成,NIMBY,環境の限界/資源の限界 
15まとめ−環境社会学の到達点と課題− 
 
テキスト・参考書 テキストは特に指定しません。参考文献は講義中に適宜紹介します。 
自学自習についての情報 授業中に配布する演習課題(ワークシート)の作成に取り組みながら自学自習を進めること。 
授業の形式 講義 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 定期試験と平常点(演習課題等の評価)により総合的に評価する予定です。詳細については、授業中に説明します。 
その他 事前に受講生に相談したうえで、講義の内容や取り上げるテーマの順番を変更する場合があります。