科目情報
科目名 生徒理解の実践と課題 
クラス a 
授業の概要 広義の生徒指導ならびに進路指導のあり方について学ぶ。その基本的な考え方、個人指導、集団指導、学級・学年・学校経営、学習や授業との関連、学校内外の連携やチームによる支援、ケース会議の進め方、また保護者への対応や今日的な生徒指導上の具体的な課題について、教育学や心理学の知見をベースに検討し学んでいく。 
授業の到達目標 ・教員にとって生徒指導とはどのような職務であるかを知る。
・児童生徒理解の進め方の基本を理解する。
・すべての児童生徒を育む生徒指導(集団指導)のあり方について理解する。
・具体的な問題行動への対応や保護者対応(個別指導)について理解する。
・学校内外の連携の意義とその方法について知る。 
授業計画
内容
1生徒指導の基本(生徒指導提要・生徒指導の3機能・ほめることと叱ること)
2010年に文部科学省より出された『生徒指導提要』について、その意図や内容について概説し、生徒指導の中で重視される生徒指導の3機能の意義と具体的場面での活用について取り上げる。また生徒指導の実際的場面では、ほめたり叱ったりする教育技術が必要とされるが、その意味や効果・弊害について検討した上で、具体的場面を想定しながら演習を行う。 
2学校経営と生徒指導(校内組織・生徒指導の年間計画・アセスメント)
生徒指導に係る校内の体制づくりとその年間計画づくりについて学ぶ。特に近年は家庭が複雑化していることから、養護教諭やSC、SSCとも連携する必要があり、組織としてアセスメントを行い、学校全体でどのように対応すべきかを学ぶ。 
3生徒指導に関する諸法令(懲戒・体罰・出席停止)
生徒懲戒制度を法的な側面から理解できるよう、「学校教育法」11条で禁止されている体罰の歴史や現在の定義を検証することを通して学ぶ。加えて、生徒懲戒制度には含まれない秩序措置としての出席停止についても理解を深めることができるよう展開する。 
4集団づくり(集団指導と個別指導)と学級経営(開発的生徒指導・学級崩壊への対処)
 学級を作る際にも授業を行う際にも集団を作ることが教師にとって最も大事なことであるが、同時に難しいことでもある。集団づくりの理論を概説した上で,構成的グループエンカウンターなどの演習を体感しながら具体的に理解を深める。 
5生徒指導の今日的課題1:暴力行為・非行
近年、児童生徒の暴力行為は増加傾向にある。その背景にある諸問題を検討し、どうしたら非行に至らないのか予防的観点から理解を深める。さらには、実際の非行少年の処遇についても概説する。 
6生徒指導・教育相談・特別支援(広義と狭義の生徒指導・父性的態度と母性的態度)
 子どもを育むという意味での広義の生徒指導と、そこに含まれる@規律指導や問題行動への対応といった狭義の生徒指導、A教育相談、B発達障がいの理解を中心にした特別支援の考え方を、「父性的態度と母性的態度」と関連づけながら明細化する。 
7児童生徒理解と発達課題(子どもの発達・特別支援)
 発達心理学と生育歴について概観し、発達障害についての理解も含めつつアセスメントや見立てといった、個別の児童生徒理解を行うための視点について検討する。 
8教育相談・臨床心理学・カウンセリングマインド
 教育相談の進め方とその背景となるカウンセリングマインドさらに臨床心理学の様々な考え方(カウンセリング、精神分析、ユング心理学、認知行動療法)について概観し検討する。 
9チームによる支援とケース会議
 子どもの様々な問題行動や困難に対して、教師がチームで関わる意義について、生徒指導体制と関連づけながら検討する。また、その際に求められる具体的なケース会議の進め方について検討する。 
10生徒指導の今日的課題2:不登校と神経症
 不登校の子ども理解と、子どもや家庭との対応のあり方について、関連機関との連携を含めながら検討する。また、子どもが呈する様々な神経症的な症状について概観する。 
11生徒指導と学習指導(学習環境の整備・授業における生徒指導)
授業における学習指導と生徒指導の密接な関連について検討する。特に,自己指導力を育成する学習指導を検討する。さらに,学習環境の整備について,考える。 
12進路指導(キャリア教育)
先行研究より,キャリア教育の動向や,文部科学省におけるキャリア教育について理解をする。さらに,生涯学習的な観点から、子どもが将来設計や人生の見通しを立てられるような進路指導(キャリア教育)と生徒指導の関連について検討する。 
13学校内外の連携・危機管理
学校内の教職員の連携、学校外の関係機関との連携について意義と課題を検討する。また、様々な危機的な状況に陥った際の生徒指導体制のあり方について検討する。奏功 (速やかに効果をあげた) 事例、困難事例を検討し、学校組織における危機対応のあり方を想定しながら検討を行う。 
14保護者理解と連携・対応
保護者のニーズをどのように受けとめて理解していくのか、また、いかに協力的な関係を形成していくのかについて検討する。事例検討やロールプレイを交え、保護者や教師の特徴を考える。さらに、学校におけるチーム援助の役割を考える。 
15生徒指導の今日的課題3:いじめ
いじめ問題の構造の理解と、その対処について検討する。また、いじめ防止対策推進法施行後における生徒指導のあり方を考える。 
 
テキスト・参考書 以下を教科書として用いる。
@ 片山紀子(2014):『改訂 入門 生徒指導』 学事出版
A 角田豊(1999):『カウンセラーから見た教師の仕事・学校の機能』培風館
B 角田豊編著・片山・内田著(2009):『生徒指導と教育相談』創元社
C 文部科学省(2010):『生徒指導提要』 
自学自習についての情報 以下を参考書として、自学自習のために活用してほしい。
@篠原清昭編著(2013):『教育のための法学』ミネルヴァ書房
A魚住絹代(2012):『子どもの問題 いかに解決するか』PHP新書
B小林正幸・有村久春・青山洋子編著(2004):『保護者との関係に困った教師のために』ぎょうせい
C吉田辰雄編著(2006):『生徒指導・進路指導論』図書文化
D日本キャリアデザイン学会(2009):キャリア研究を学ぶ25冊を読む 泉文堂 
授業の形式 講義形式とグループワークを組み合わせて行う。グループワークの際は、3コースが共に学べるように、グループ分けを行う。 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 課題レポートを3回提出し、それら(75%)と授業での態度(25%)を総合して評価する。 
その他 研究科ホームページの開設授業科目に、「論文講読」と「事例報告フォーマット」についての資料が掲載されている。