科目情報
科目名 社会科授業研究 
クラス − 
授業の概要 社会科の先生が100人いれば100通りの方法があると言われるように,社会科授業の内容も方法も千差万別です。そこで,本授業研究では,どのような授業が優れた授業なのか,すぐれた社会科授業の備えるべき要件は何かを次の3つの面から考えます。
1)全国的に著名な現場の先生の授業をビデオや記録をもとに再現するとともに,彼らの授業のどこがすばらしいのかを,ディスカッションを通して分析・検討する。
2)イギリスを中心に,授業者が録画した諸外国の授業のビデオの視聴や,テキスト・教材を用いたワークショップを通して,多様な視点から我が国の社会科授業を見直す。
3)近隣の小中高等学校において身近に行われ,かつ評判の高い授業改善の取り組みを実際に参観したり,ビデオにおさめて持ち帰るなどして,授業の成果と課題をディスカッションを通して分析・検討する。 
授業の到達目標 1) 授業を作るための引き出しを増やすとともに,社会科の授業づくりや授業分析についての自分なりの枠組みを持つことができる。
2) 諸外国における市民性の育成を目ざす教科の概要を知ることを通して,「社会科とは何か」を,他の教科や領域(総合学習や特別活動を含む)を含む広い枠の中で考えることができるようになる。 
授業計画 1) 授業を分析するためのいくつかの分類枠(フレームワーク)や考え方の例を学ぶ。
2) 1)の枠組みを使って,ビデオや授業記録をもとに,有田和正氏(小)・河原和之氏(中)・加藤公明氏(高)などの著名な授業実践者や、「社会科の初志をつらぬく会」「教育科学研究会」などの民間教育研究団体,近隣小・中・高校における優れた取り組みを,受講者のディスカッションを通して検討する。
3) イギリスの新教科「シティズンシップ(市民科)」(2002年から実施)が誕生するまでの紆余曲折や現状を紹介するとともに,諸外国における社会科の様子を広く考える。
内容
1オリエンテーション
社会科授業分析の理論と枠組み(フレームワーク)「このようにすれば授業は分析できる」の紹介 
2問題解決型の授業論と授業記録の分析 
3科学的社会認識型の授業論と授業記録の分析 
4意思決定型の授業論と授業記録の分析 
5社会参加型の授業論と授業記録の分析 
6名人といわれる先生の授業論と授業記録の分析(小学校) 
7名人といわれる先生の授業論と授業記録の分析(中学校) 
8名人といわれる先生の授業論と授業記録の分析(高校) 
9近隣の評判の高い先生や附属の先生の授業を解剖する(小学校) 
10近隣の評判の高い先生や附属の先生の授業を解剖する(中学校) 
11近隣の評判の高い先生や附属の先生の授業を解剖する(高校) 
12英国(イングランド)の新教科「シティズンシップ」の紹介(1)歴史的背景と理念 
13英国(イングランド)の新教科「シティズンシップ」の紹介(2)ナショナルカリキュラムの内容 
14英国(イングランド)の新教科「シティズンシップ」の紹介(3)イギリス国内での実践と諸外国への普及 
15授業全体のまとめと総合討論 
 
テキスト・参考書 資 料:授業で用いる資料は必要に応じてその都度配付します。
参考書:杉本・高乗・水山(2008)「教育の3C時代」,世界思想社 
自学自習についての情報 社会科の授業を分析する視点や枠組みを本授業を通していくつか示しますので,それにあてはまる授業例を常日ごろ探すよう心掛けていると,あなたの「授業を見る目」は格段に進歩します。 
授業の形式 講義および受講者相互のディスカッション 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 1)作業・発表等 50%,2)課題レポート 50% 
その他(授業アンケートのコメント含む) 本授業に対して学生諸君は毎年意欲的に受講してくれています。本年度もぜひそのように望んでいます。なお,授業記録や授業録画をもとにしたディスカッション中心の少人数の授業です。準備は特に必要ありませんが,討論への積極的な参加を望みます。
授業の概要は,「シナプス(SYNAPSE)」2013年11月号,ジアース教育新社,pp.46-49 に「教員養成における教科の学びの充実」として紹介されていますので,参考にして下さい。