科目情報
科目名 教育改革と教育行政・学校経営 
クラス − 
授業の概要 現在に至る教育改革は、地方分権、規制緩和を軸に国民社会の変容に対応する公教育システムの転換を図るものとして展開されてきている。保護者や地域住民のニーズに応えるために、「開かれた学校」「特色ある学校」の実現、「学校の自律性確立」が課題とされ、学校経営を自律的に担うスクールリーダーの育成が求められている。教育改革の意味するものを明らかにし、自律的学校経営を確立するために必要な教育行政と学校経営の新たな関係を学校経営の立場から考察する。
 
授業の到達目標 ・教育改革の全体像について理解すること。
・教育行政制度の全体構造と改革課題について理解すること。
・学校経営の構造と改革課題について理解すること。
・学校の権限、責任の観点から、教育行政、学校経営の改革動向について考察し、自らの見解を示すことができること
 
授業計画
内容
1オリエンテーション:全体概要と本授業の方法、到達目標の説明、課題の整理と発表分担の決定 
2教育改革の背景と展開:中央教育審議会の答申などを基にして、今日に至る教育改革の動向を整理し、その背景や改革課題について検討する。 
3教育行政制度と改革課題:教育行政制度の全体構造について法規定を踏まえながら整理し、その改革課題について学校の立場から考察する。 
4学校経営の法制度と改革課題:学校経営にかかわる法制度を整理するとともに、学校内部における組織と経営に関する構造とその改革課題について考察する。 
5教育改革と教育行政・学校経営の課題:国民社会の変容に対応する公教育システムの転換について、第2回から第4回の内容を踏まえて、改革課題について整理する。 
6教育行政改革の事例分析(1)−国レベル:文部科学省が実施してきた教育改革の動向を整理し、その特質や問題点、今後のあり方について、受講生が発表し、議論する。 
7教育行政改革の事例分析(2)−都道府県レベル:都道府県・政令指定都市の教育改革の展開を整理するとともに、事例として特定の都道府県・政令指定都市の教育改革を取り上げ、その特質や問題点、今後のあり方について、受講生が発表し、議論する。
 
8教育行政改革の事例分析(3)−市町村レベル:市町村の教育改革の動向を整理するとともに、事例として特定の市町村の教育改革を取り上げ、その特質や問題点、今後のあり方について、受講生が発表し、議論する。 
9学校経営改革の事例分析(1)−教育課程経営改善:教育課程の編成に関する学校裁量権の拡大についてその意義を検討するとともに、具体的事例に即して、学校における教育課程経営の課題について、受講生の発表に基づいて、分析し、議論する。 
10学校経営改革の事例分析(2)−学校評価:学校評価の制度化についてその意義を検討するとともに、具体的事例に即して、学校評価による学校改善の課題について、受講生の発表に基づいて、分析し、議論する。 
11学校経営改革の事例分析(3)−保護者・地域住民の参加:学校評議員、学校運営協議会、学校関係者評価などにより、学校経営への保護者・地域住民の参加が拡大してきている実態について整理し、具体的事例に即して、保護者・地域住民の参加の課題について、受講生の発表に基づき、分析し、議論する。 
12学校経営改革の事例分析(4)−学校組織改善:職員会議の制度化、副校長や主幹教諭、指導教諭の設置など学校組織に関する改革動向について整理し、具体的事例に即して、受講者の発表に基づき、学校組織改善の課題について、分析し、議論する。 
13国と地方の新たな関係―提案:教育行政改革の事例分析を踏まえ、地方分権、規制緩和の観点から、教育行政改革として国と地方との新たな関係について、受講生による提案に基づき、その可能性と課題に関して議論する。 
14教育委員会と学校の新たな関係―提案:学校経営改革の事例分析を踏まえ、学校の自律性確立の観点から、教育委員会と学校との新たな関係について、受講生による提案に基づき、その可能性と課題に関して議論する。
 
15まとめ:講義を振り返り、学んだこと、考えたことを整理し、スクールリーダー専門職基準における職務遂行能力の形成に関する自らの今後の課題について考察する。 
 
テキスト・参考書 堀内孜編『地方分権と教育委員会』全3巻、ぎょうせい、2000年/2001年。
堀内孜編著『公教育経営の展開』東京書籍、2011年。
日本教育行政学会研究推進委員会『地方政治と教育行財政改革―転換期の変容をどう見るか』福村出版、2012年
日本教育行政学会研究推進委員会『教育機会格差と教育行政 』福村出版、2013年
日本教育行政学会研究推進委員会『首長主導改革と教育委員会制度』福村出版、2014年
『教育六法』三省堂
 
自学自習についての情報 事前に、参考文献等を基に予習をすること。発表の場合には、1週間前までに、相談に来ること。
事後には、毎回、学んだことを整理し、教育改革の視点から、自分の考えをまとめること。 
授業の形式 講義と演習―事例発表 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 授業への参加度(30%) 授業における発言内容などにより、毎回の学びについて評価する。
事例研究発表とレポート(70%) 到達目標の達成度に応じて評価する。
 
その他(授業アンケートのコメント含む) 昨年度の授業アンケートで、説明がややわかりにくいという回答があったので、一方的な説明に終始することなく、院生との質疑応答を大切にして進めていきたい。