科目情報
科目名 社会科教育特論II 
クラス − 
授業の概要 「社会科」という教科については何となくイメージがあっても,「社会科教育学」となると「?」という人が多いのではないだろうか。そこで,社会科教育学,すなわち「社会科教育」を「科学する」とはどういうことなのか,何を対象にどのような方法論を用いて考えていくのかを,前半の「社会認識形成論」と後半の「市民的資質育成論」の二つに分けて,分かりやすく論じる。後半では,今日的な課題となっている市民性の教育やシティズンシップの教育について,英国・中国・オーストラリア等の事例を紹介しながら,世界の社会科関連教育の動向についても触れる予定でいる。初めて学ぶ人には基本的な文献を紹介しながら、既に学んだことのある人には最新の研究成果を示しながら論じていきたい。 
授業の到達目標 1.「概念的な知識」の「探究」によって社会認識が形成されていくプロセスがわかる。
2.意思決定、合意形成,社会参加など様々なアプローチが、どのような市民的資質を子どもたちに育成しようとしているのかがわかる。
3.シティズンシップ教育が,社会認識の形成と市民的資質の育成を統合することによって,新しい社会科のかたちを目ざしていることがわかる。 
授業計画
内容
1社会認識教育の原理(1)
理解から問題解決,そして科学的説明へ 
2社会認識教育の原理(2)
社会認識としての知識の獲得と知識の構造 
3社会認識教育の原理(3)
社会認識形成をめざす具体的な授業の考え方,作り方 
4市民的資質育成論(1)
海外における意思決定論研究のはじまりと紹介
マシャラス,メトカーフ,オリバー,タバ,バンクスetc. 
5市民的資質育成論(2)
日本における意思決定論研究の展開と紹介
岩田一彦,小原友行,今谷順重etc. 
6市民的資質育成論(3)
社会科教育のニューウェイブ@
意思決定論の発展としての「トゥールミンモデル」の活用と授業づくり
 
7市民的資質育成論(4)
社会科教育のニューウェイブA
意思決定論の発展としての「合意形成」と授業づくり 
8市民的資質育成論(5)
社会参加・参画と社会科 
9英国における新教科「シティズンシップ」(1)ナショナルカリキュラムを中心にして 
10英国における新教科「シティズンシップ」(2)教科書や教材,実際の授業紹介 
11日本における「市民科」の動き(1)社会科としての市民科 
12日本における「市民科」の動き(2)総合的な教科としての市民科 
13受講者による市民的資質の育成をめざす授業の発表とディスカッション(1) 
14受講者による市民的資質の育成をめざす授業の発表とディスカッション(2) 
15市民的資質教育をめぐる新しい動向
小中学校における特別の教科「道徳」および高校における新教科「公共」と,市民的資質の育成 
 
テキスト・参考書 資料は必要に応じてその都度配布する。英国のシティズンシップ教育についても日本語訳を添付するので英語に関する心配は不要。 
自学自習についての情報 第12回までは講義内容について復習のこと
第13・14回は各自による発表を予定しているので,それまでに紹介したい本や文献をあらかじめを探しておくこと 
授業の形式 講義を基本とするが、ワークショップ、ディスカッション等も取り入れる。 
アクティブラーニングに関する情報 受講生諸君には,本授業を通して,自らが小中高等学校生徒であった時,あるいは学部生時代を通して身に付けた「社会科はかくあるべし」という先入観・信念を省察的に問い直してもらいたい。
 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 1)授業への参加と討論(60%), 2)各自の興味関心に基づいて、社会認識の形成若しくは市民的資質の育成に関する本を読んでのレポート(40%) 
その他(授業アンケートのコメント含む) 毎年学生諸君は意欲的に学習してくれている。本年もそのような学修態度を求めたい。