科目情報
科目名 社会科教育特別演習II 
クラス − 
授業の概要 OECD・PISAに代表される世界の教育改革,国内における「道徳」の教科化,新教科「公共」の設置等,国内外の最新の教育改革の動きに配慮しながら,「社会認識形成」をふまえた「市民的資質育成」のための社会科授業はどのようにあるべきか,演習形式で考えます。そのために、我が国におけるシティズンシップ教育研究の最新動向を紹介するとともに,シティズンシップ教育に関連する国内・国外(主としてイギリス)の授業記録の視聴と分析,教材やテキストの追試(参加者全員で教師役と生徒役を分担)・ワークショップ,教材開発等を受講生の希望に基づいて行います。 
授業の到達目標 「社会認識の形成」と「市民的資質の育成」を組み込んだ社会科授業とはどのようなものかを理解し,授業を評価する,自力で授業を設計する見通しを持つことができる。
日本の社会科と諸外国の社会科関連教育の,考え方や教材の作り方等を比較することを通して,それぞれの特徴がわかる。 
授業計画 1.ビデオ記録や授業記録,公文書の視聴,輪読を中心とした,国内・国外の市民性教育の現状の考察。(第1回〜7回)
2.報告書をもとにした最新のシティズンシップ教育研究の動向の紹介。(第8回)
3.英国の新教科「シティズンシップ」に関連して、テキストや教材を分担して追試し、その学習方法論を論じあう。(第9回〜12回)
4.1〜3をふまえ、「社会認識」や「市民的資質」を組み込んだ教材を受講生の希望に基づいて開発したり,紹介する。(第13〜15回)
内容
1オリエンテーション
世界のシティズンシップ教育の概観(1)
東アジアのシティズンシップ教育(中国,韓国,シンガポール 等) 
2世界のシティズンシップ教育の概観(2)
欧米のシティズンシップ教育(アメリカ,イギリス,オーストラリア 等 
3世界のシティズンシップ教育の概観(3)
ユニバーサルなシティズンシップ教育(ユネスコ,EU,ヨーロッパ協議会 等) 
4新しい教育改革の動きとしてのOECD・PISAと「協働的問題解決」(1)
その定義と基本的な問題意識,および協調的問題解決の構成 
5新しい教育改革の動きとしてのOECD・PISAと「協働的問題解決」(2)
具体例としての「学校水槽設置問題」「学級表彰メダルのロゴづくり問題」と社会科 
6英国(イングランド)における授業のビデオ視聴と授業記録の紹介
Hanchington School, Fulford School 等 
7日本における市民性育成をめざす授業のビデオ視聴と授業記録の紹介
お茶の水女子大学附属小学校の市民科,京都府八幡市におけるシティズンシップ教育 
8直近のシティズンシップ教育に関する国際会議(東京:1/10-11,京都:3/7-8)で問題になったことの紹介
・シティズンシップ教育における道徳性や宗教,人格の教育をどのようにとらえるか,
・シティズンシップ教育における普遍性や,文化や地域の固有性をどのようにとらえるか 
9英国の新教科「シティズンシップ」に関連したテキストや教材の紹介(1) グループA 
10英国の新教科「シティズンシップ」に関連したテキストや教材の紹介(2)グループB 
11英国の新教科「シティズンシップ」に関連したテキストや教材の紹介(3)グループC 
12英国の新教科「シティズンシップ」に関連したテキストや教材の追試 
13受講生の希望に基づいた「市民的資質」を組み込んだ教材開発(1)グループA 
14受講生の希望に基づいた「市民的資質」を組み込んだ教材開発(2) グループB 
15受講生の希望に基づいた「市民的資質」を組み込んだ教材開発(3) グループC 
 
テキスト・参考書 第9回〜第12回で用いるテキストとして,これまで,Hodder Education (2008)「This is Citizenship 1」や,Hodder Education (2009)「OCR Citizenship Studies」,Heineman(2010)「Citizenship in Action」を使用した。いずれもイギリスの中学生が使っているテキストである。なるべく最新のものを使用する予定でいるが,本年度の教材リソースは現時点では未定。その他、資料は必要に応じて配布する。 
自学自習についての情報 ・社会科のみでなく,道徳や特別活動等を含めた幅広い市民性育成のための教科・領域に関心のあることが望ましい。
・教材づくりのためには,身近な社会問題に関心のあることが望ましい。 
授業の形式 演習 
アクティブラーニングに関する情報 本授業は受講生諸君の授業への参加(資料作成・話題提供や,討論での意見表明)によって成り立っているので,積極的な授業参加を期待しています。 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 1)授業への参加状況(40%), 2)追試のために準備する担当回のレジュメ(60%) 
その他(授業アンケートのコメント含む) 毎年学生諸君は意欲的に学修している。本年度もそのように望みたい。なお,英語の文献を配布したりもするが,語学力は全く不要.興味・関心・好奇心こそが重要.