科目情報
科目名 人文地理学特論 
クラス − 
授業の概要 【この授業科目は、ごく一部を除いて学部開講科目の「地理学研究」と共通内容となっています】
◆特定地域における野外実習、およびそれに先立つデスクワークを通じて、地域を多面的に理解します。
◆今年度の特定地域(現地実習の実施地域)は、岩手県宮古市から宮城県仙台市にかけての東日本大震災の被災地です。戦後未曽有の大災害の現場となった被災地の被災状況と復興状況を知り、現地で防災・減災教育に触れることで、今後の教育現場で必須とされる危機管理能力の基盤を整えます。
◆現地実習の日程は8月9日(水)16時にJR宮古駅に集合、8月11日(金)17時半に仙台地下鉄東西線荒井駅(JR仙台駅まで約15分)で解散予定です。初日は同日朝に京都を発てば集合時間に間に合います。また、最終日は同日中に帰洛することができます。復路は帰省ラッシュと重複するので、指定券や航空券などは各自で早目の手配をお願いします。
 
授業の到達目標 地理学に関する大半の研究では,文献読解・統計処理・地図作成などの室内作業(デスクワーク、インドアワーク)と現地調査(フィールドワーク)の両方が必要です。本授業科目で受講生諸君は,これらの両面の基礎を経験し,その能力を磨いていくことになります。地域を地理学的に観察する能力が備われば,漫然と楽しむだけの旅が「もったいない」と思えるようになれるはずです。
★参考【(学部の)ディプロマポリシーの内容に関する記載】=大学院の受講生にはこれらをサポートする活動を指示します。
1.2泊3日の現地実習(フィールドワーク)を通じて,文化・社会・自然に関する知識が深められます。《知識・理解》
2、文献渉猟と文献紹介によって情報リテラシー能力を高めることができます。《汎用的スキル》
3.フィールそワークでの団体行動によって,学校教育現場で不可欠なチームワークの大切さを体験的に学ぶことができます。《態度・方向性》
4.自然・社会・人文を総合した地理学的な地域観察によって,地域固有の問題点や長短所を見出し,改善を要する部分を創造的な取り組みで解決していける能力が育てられます。《総合的な学習経験と創造的思考力》 
授業計画 ◆8月09日(水):1コマ(2時間)=宮古市周辺の津波被害に関するレクチャー(元・宮古市職員=教育委員会等の方からの説明を予定しています)
◆8月10日(木):5コマ(10時間)=宮古市周辺(ギネスに掲載されていた田老地区の高さ10m防潮堤を超えた津波被害、住宅地の高台移転など)のフィールド観察と現地説明)
◆8月11日(金):5コマ(10時間)=借上バスで宮古〜大槌〜釜石〜大船渡〜陸前高田〜気仙沼〜南三陸〜石巻(大川小学校跡慰霊訪問)〜仙台(解散)
◆現地実習の際、学部学生の点呼の補助などで授業運営に参加していただきます。
◆2単位のために現地実習だけでは不足する4コマは、5月20日(土)と7月15日(土)の両日に3・4限で事前学習会を予定しています。教員採用試験受験などの止む無き事情がある場合などを除いて原則的に欠席できません。
◆事前学習会では現地実習の詳細な予定の説明、文献紹介のプレゼンテーション、宿代やバス代の事前集金などを行います。原則的に途中キャンセルはできませんので、良く考えて受講登録してください。
◆宿舎やバスの都合で、現地実習を合同実施する学部授業とあわせて40名を定員とします。正式な受講許可学生は4月中旬までに、B棟3階の香川研究室付近の掲示スペースに可能な限り早く発表します。
◆現地解散日から1週間以内に1200字程度(総字数)のレポートをメール添付など指定する方法で提出していただきます。レポート課題については現地実習中に指示します。締切に遅れたレポートは一切受け付けません。
 
テキスト・参考書 ◆テキストは使用しません。
◆本授業科目(内容的に類似する科目を含む)についての過去12回分の実施記録は、京都教育大学教育実践研究紀要3号(2003)、同5号(2005)、同7号(2007)、同9号(2009)、同10号(2010)、同11号(2011)、同12号(2012)、同13号(2013)、同14号(2014)、同15号(2015)、同16号(2016)、同17号(2017)を参照してください。このうち7号以降について、インターネットでも閲覧できます。
◆過去に同地機で実施したフィールドトリップについて、京都教育大学紀要123号(pp.42-60)に掲載の「東日本大震災を受けての防災教育普及の取組--さまざまな論考の整理と三陸地域での現地検証--」に詳しい記述があります。 
自学自習についての情報 事前学習で紹介する地理学および周辺領域の論文から、できるだけ本格的な学術論文を探してください。簡単なエッセーなどを選ぶと、それ相応の知識しか得ることができず、修士論文を執筆するときにも良いものを書くことができなくなります。探している文献が図書館や研究室で見つからないときは、図書館のレファレンスカウンターで相談して他機関所蔵資料の利用を申請してください。申込から1週間程度で複写された文献が届きます(高くないですが有料です)。国立国会図書館関西館の利用も有効ですし、ここで利用者証を作成(無料)しておけば、インターネット経由で国内にあるすべての文献を取り寄せる(こちらも有料)ことができるようになり、学習や研究の幅が一気に拡大します。 
授業の形式 5月20日および7月15日:演習形式による論文紹介と討論(デスクワーク[インドアワーク])
8月9〜11日:現地実習(フィールドワーク)と授業時間外でのレポート作成 
アクティブラーニングに関する情報 当科目はフィールドワークが内容の大半を占めます。説明を受けるだけでなく、各自がフィールドで感じたことを議論して成り立つ授業ですので、事前学習における文献収集からプレゼンテーションに至る資料作成も含めて、授業の全てがアクティブラーニングとして設計されています。 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) ◆上記2回の事前学習での積極性:30%(発表だけでなく質疑応答についても評価対象です)
◆8月の現地実習での積極性:50%(遅刻、メモを取らないなど受講態度が悪い者は高い評価が出来ません)
◆解散日から1週間後が締切(現地で指示します)のレポートの内容:20%(内容を熟読して現地での行動や考察を評価します。提出期限に遅れると不合格になることがあるので注意してください。 
その他(授業アンケートのコメント含む) ◆京都と現地との往復交通費、現地での交通費、宿泊料金、食費、旅行保険代金、雑費などの合計で5〜6万円を要します。
◆5月20日の事前学習会でフィールドノートの注文をとって一括発注します。この費用は7月15日に集金する25,000円に含まれます。
◆当授業の諸連絡は全て大学のメールアドレス(ドメインがkyokyo-u.ac.jpのもの)への連絡で行います。
◆5月20日の事前学習会の折に緊急連絡用としてモバイルフォンの電話番号をお届けいただきます。
◆宿舎予約や旅行保険との関係で、7月15日の事前学習会の折に25,000円(金額が若干変わることがありますがその場合は事前に通知します)を集金します。また、その際、旅行保険の加入に必要なので、生年月日をお届けいただきます。
◆現地までの往復は、基本的に受講生各自の自由で、少し早目に京都を発って平泉に寄るなども可能です。乗車券類は各自で手配をお願いします。仙台まで夜行バスか飛行機(ピーチ)を使うと安く行けます。当シラバスの「授業の概要」にも記しましたが、復路の交通は帰省ラッシュの混雑が懸念されますので各自で早めに手配をお願いします。