科目情報
科目名 日本史特講 
クラス − 
授業の概要 映画「もののけ姫」を読み解きながら、最新の歴史研究の成果に基づく日本中世史像を紹介する。その際、中学・高校の教科書を用いて、歴史教育のコンテンツが歴史学の進展によっていかに変化し、またいかなる課題を残しているのかを考えていく。 
授業の到達目標 @ 歴史学の方法や性格を、映画の読み解きを通じて体験し、理解する。
A これからの教員として必要な視座とそれに基づく歴史知識を習得する。
B 中等教育における歴史教育の現状と課題について理解を深める。 
授業計画
内容
1ガイダンス―授業のねらいと歴史学の方法― 
2中世社会の基本構造@―仏教の時代―
*中世社会において仏教の持つ影響力の大きさについて、理解を深める。 
3中世社会の基本構造A―荘園制と開発―
*中世国家の支配体制として荘園制を捉え、また荘園を舞台とした人々の生業を理解する。 
4中世社会に生きる@―低成長の時代―
*室町時代の社会について、飢饉や疫病、そして「低成長」をキイワードに理解を深める。 
5中世社会に生きるA―新しい縁のかたち―
*現代につながる共同体としての村を歴史的存在として捉え、その性格を理解する。 
6中世社会に行きるB―戦国時代と宗教―
*宗教の役割が中世成立期から戦国時代にかけて、いかに、なぜ変化したのかを考察する。 
7中世社会に生きるC―身分・ジェンダーと差別―
*中世における人間観を理解し、それとの関係で宗教の果たした役割について考える。 
8グループ学習@―中世仏教は人々を幸せにしたか?―
*上記の課題について発表・討論し、中世仏教の特徴・意義について、理解を深める。 
9中世日本とアジア@―アジアにおける火器の時代―
*11〜16世紀の海域アジアの歴史を紹介し、そのなかに日本史を位置づける。 
10中世日本とアジアA―ヨーロッパ人のアジア進出―
*ヨーロッパ人のアジア進出と日本との関わりを、アジア史の観点から理解する。 
11映画の分析@―「たたら場」の性格―
*たたら場の人々と彼らをとりまく環境を、歴史学の方法を用いて中世社会に位置づける。 
12映画の分析A―中世日本の経済構造とジコ坊―
*中世(とくに12〜15世紀)の経済構造について理解を深める。 
13映画の分析B―戦国大名としてのアサノ公方―
*戦国大名の特徴を理解し、彼らが前代の秩序をいかに変化させたかを理解する。 
14映画の分析C―「ここをいい村にしよう」―
*中世近世移行期に関する近年の議論を紹介し、映画のエンディングの意味を考える。 
15グループ学習A―「豊かな国」と「いい村」は、どちらが幸せな場所か?―
*上記の課題について発表・討論し、授業の総括を行う。 
 
テキスト・参考書 テキスト:藤川隆男・後藤敦史(編)『アニメで読む世界史2』、山川出版社、2015年
参 考 書:中学校・高等学校の歴史教科書(各自でもっているものでよい) 
自学自習についての情報 グループ発表にあたっては、講義で紹介した知識や関連する歴史的知識にくわえ、現代的課題への問題意識を持つことが要求されるので、教科書・参考文献のみならず、日々新聞等のメディアに目を通しておくことが望ましい。 
授業の形式 講義。 
アクティブラーニングに関する情報 基本的には知識の教授を重視した講義形式であるが、複数回グループ発表の時間をもうけ、討論を行う。 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 授業毎に提出する「振り返りシート」(30点満点)とグループ発表(30点満点)およびグループ発表で扱った課題についての期末レポート(40点満点)で判断する。 
その他(授業アンケートのコメント含む) 講義の性格上、事前に映画「もののけ姫」を視聴しておくことが望ましい。
日本史研究室(中村研究室)にDVDがあるので、短期貸出も可。