科目情報
科目名 栽培実習I 
クラス − 
授業の概要 学内のF棟南側にある畑を使って野菜や草花を学生自らが栽培する.種まき,苗の植え付けから収穫までの栽培過程を,可能な限り実践する.収穫物がある時はすぐに教室内にて調理し試食する.こうした体験を通じて作物栽培の達成感と満足感を味わう.栽培には肥料まき,草取り,耕起,畑の開拓などのつらい作業も伴うが,これらを経てはじめて立派な収穫物が得られること,作物は毎日わずかずつしか大きくならず時間がかかることなどを知り,育てることには「待つ,辛抱する,作物に愛情を注ぐ」ことが大切な要素であることを理解する. 
授業の到達目標 作物を学生自らが栽培する過程で,作物の特徴や環境との関わりを体得する.生き物を育てるには,そのための知識だけでなく,小さなことも見逃さない確たる観察眼と,その生き物が無事に大きく立派に成長してほしいと願う愛情が必須となる.本授業は,「育てる心」と「食べ物作りの大変さ・重要さ」を学生諸君が体験を通じて理解することを,最大の目標としている.額に汗して育てた作物が成長したときの喜びと収穫後の味わいは,何事にも換えられない.合い言葉は『耕せ京教』である. 
授業計画  授業の最初に20分程度,その日の実習について全員に解説した後,作物を「育てる」実習をおこなう.最後に10分程度,まとめの時間をとる.収穫物があれば,可能な限り美味しく食べられるように調理・加工し,試食する.従って受講生は美味しい調理法についても学習しておく必要がある.また可能であれば,学外での田植えなどの実習や圃場見学を行う可能性がある.毎時の計画は,その年に何を栽培するかによって変わる.また,その日年の天候やそれまでの気候によっても異なり,一概には示せない.
例えば以下のような授業計画が考えられる.ただし,同じことを繰り返して実施したり,実施順序が変化するなどの変動も伴うのが普通である.
本授業は春から冬まで一年間の栽培体験を通して学習することで完結する.本授業の秋・冬版は『生物育成実習』で実施する。主な収穫はこちらの授業で行うことが多いので,本授業だけで終わるのはバカを見ることになる。本授業受講者は続けて後期の『生物育成実習』も併せて受講し,せっかく自分が育てた作物を収穫・試食するように。
内容
1オリエンテーション,農具の名称と使い方,整地,畦立て 
2マルチングシ−ト張り,種まき,苗の植え付けの準備,農具の点検法の学習など 
3種まき,苗の植え付けなど 
4除草,水やりなど 
5木の枝払い,潅木の伐採,木片運びなど 
6畑の周辺にある植栽の剪定,農道整備など 
7支柱立て,誘引,芽かき,培土など 
8葉菜類,果菜類の収穫・調理・試食など 
9根菜類の収穫・調理・試食など 
10プランター栽培,容器栽培など 
11ゴーヤやヘチマなどによる壁面緑化栽培(緑のカーテン)など 
12ハーブの収穫とハーブ茶の作成など 
13農地の整備実習など 
14不要樹木の整理,剪定枝の始末など 
15大規模農業実践の見学と質疑応答,レポート作成など 
 
テキスト・参考書 栽培に関する本はたくさん市販されているので,自分が読みたい本を書店などで選べばよい.また,NHKの番組「趣味の園芸」のテキスト各月号や日本農業新聞の中で週1回出される野菜栽培特集頁なども大いに参考になる。学校教員向けの栽培の本として,農山漁村文化協会「学校園の栽培便利帳」と「学校園の観察実験便利帳」があり,本授業では後者をテキストとして使用するので,受講者は生協で購入すること. 
自学自習についての情報 授業時に,必要に応じて示す.NHKの番組『趣味の園芸 野菜の時間』(毎週日曜日午前8時〜8時25分)は大いに参考になる. 
授業の形式 畑に近いF棟の講義室(通常F12)にて,その日の実習の内容や意義をプリントやテキスト等を用いて最初の15分程度がその日行う内容の説明などを行う講義で,その後100分程度がF棟南側の畑での栽培実習となる.その後収穫物がある場合には教室に戻って収穫物を調理し試食し,最後の5分程度,まとめを行う.教授業前に更衣を済ませておくこと.男女別に更衣用の教室を2つ用意(通常男子がF13,女子がF14)してある.京都大学大学院農学研究科附属農場(木津川市)の見学を7月下旬に実施する予定である. 
アクティブラーニングに関する情報 本授業は実習形式で,体験しないと意味のない授業である.しかしただ漫然と体験するだけでは,何も身に付かない.何のために,何を目指して,どのようにするべきなのか,常に自らの行動を見つめ,考えながら行動しないといけない。体験は自らの意志に従い,自制のもとで行ってその結果に責任を持つことが大切である。教員の言葉を先回りした自主的行動を期待する。 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 収穫物の出来・不出来だけではなく,収穫に至るまでの学生一人ひとりの栽培努力も評価の主要な対象となる.授業の中で,学生の安全確保だけでなく学生の評価の公正化を図ることは当然である.授業中の真摯な態度は最も主要な評価対象であり,授業態度やまとめの時の小レポートなどを評価に加える. 
その他(授業アンケートのコメント含む) 学内の菜園は藤森キャンパスF棟南側の農地を使用する.一部に未整備の土地が残存するので,開墾実習を実施することもある.実習中の怪我など不測の事態に備えるために,受講学生は傷害保険に入っておく方が望ましい.実習のために,野外で活動できる服装(野良着)や靴などが必要である.例年,収穫した作物を自分が嫌いだとの理由で持ち帰らない学生が出るが,まずは持ち帰り,自宅で調理して食することが大切である。スーパーマーケットで購入した同じ野菜とは食味が異なるはずである.なお、本実習での栽培では一切の化学肥料や農薬は使用しない栽培法を実施しており,安全で美味しく,付加価値の
高い野菜が収穫できる.