科目情報
科目名 生徒理解の実践と課題 
クラス a 
授業の概要 広義の生徒指導ならびに進路指導のあり方について学ぶ。その基本的な考え方、個人指導、集団指導、学級・学年・学校経営、学習や授業との関連、学校内外の連携やチームによる支援、ケース会議の進め方、また保護者への対応や今日的な生徒指導上の具体的な課題について、教育学や心理学の知見をベースに、総合的な「学校臨床力」として検討し学んでいく。 
授業の到達目標 ・教員にとって生徒指導・進路指導とはどのような職務であるか、総合的な「学校臨床力」とは何かを知る。
・児童生徒理解の進め方の基本を理解する。
・すべての児童生徒を育む生徒指導(集団指導)のあり方について理解する。
・具体的な問題行動への対応や保護者対応(個別指導)について理解する。
・学校内外の連携の意義とその方法について知る。 
授業計画
内容
1子どもの変容(担当:片山)
 子どもが戦後どのように変わったかについて概観し、今の子どもたちの特徴について知る。 
2生徒指導の今日的課題1(a):暴力行為・非行(担当:片山)
 近年の児童生徒の問題行動についてその実態を知る。 
3生徒指導の今日的課題1(b):暴力行為・非行(担当:片山)
 問題行動の背景にある諸問題を検討し、予防的観点から理解を深める。さらには、実際の非行少年の処遇についても概説する。 
4生徒指導に関する諸法令(懲戒・体罰・出席停止)(担当:片山)
 生徒懲戒について法的な側面から理解できるよう、「学校教育法」11条で禁止されている体罰の歴史や現在の法解釈について学ぶ。 
5生徒指導の意義と具体的場面での活用(担当:片山)
 生徒指導の3機能の意義と具体的場面での活用の仕方について取り上げる。また生徒指導の実際的場面では、ほめたり叱ったりする教育技術が必要とされるが、その具体的場面を想定しながら演習を行う。  
6学校臨床力の基本概念(担当:角田) 
 子どもを育むという意味での「学校臨床力」と、そこに含まれる@規律指導や問題行動への対応といった狭義の生徒指導、A教育相談、B発達障がいの理解を中心にした特別支援の考え方を、「父性的態度と母性的態度」と関連づけながら明細化する。 
7学校臨床力の体験学習:カウンセリングのロールプレイ1(担当:角田)
 教育相談の基本となる人と人がかかわり合う際の話の聴き方、注意点、その意義について、ロールプレイを通して体験的に学習する。 
8学校臨床力の体験学習:カウンセリングのロールプレイ2(担当:角田) 
 前回に加えて、コミュニケーションとしての「やり取り」においてどのようなポイントがあるのかを、ロールプレイを通して体験的に学習する。 
9学校臨床力と省察1(担当:角田)
 テキスト・参考書のB「教師が自己対象として機能すること ―教師と児童生徒とのかかわり合いの意義―」を読み、学部卒院生の省察について検討する。 
10学校臨床力と省察2(担当:角田)
 テキスト・参考書のC「学校臨床力の観点からみた教師の省察を深める事例研究会 ―教職大学院における事例研究の実際―」とD角田豊・柴ア朱音(2017):「『学校臨床力』とプロセスレコードによる教師の省察」を読み、現職院生の省察とプロセスレコードについて検討する。 
11逸脱と学校(担当:保田)
 逸脱と学校の関係について、学校の社会的機能や社会学的な議論を踏まえて考察する。 
12長期欠席の社会学(担当:保田)
 戦後の長期欠席者数の変遷や問題の捉えられ方の変遷について知り、「学校に通うこと」の意味を再考する。  
13いじめの社会学(担当:保田)
 いじめが生じるメカニズムやいじめ言説についての社会学的な議論を学ぶ。 
14生徒指導にかかわる専門職と学校(担当:保田)
 戦後日本における生徒指導組織の変遷について知り、学校内外でどのように連携を進めていくべきか考察する。  
15学校と家庭の連携(担当:保田)
 戦前・戦後の学校と家庭の関係性の変化について知り、学校と家庭の連携のあり方について考察する。 
 
テキスト・参考書 以下を教科書・文献として用いるので、必要な回には持参すること。
@片山紀子(2018):『3訂版 入門 生徒指導』 学事出版
A角田豊・片山紀子・小松貴弘(2016):『子どもを育む学校臨床力―多様性の時代の生徒指導・教育相談・特別支援』創元社
B角田豊・森佳美(2015):「教師が自己対象として機能すること ―教師と児童生徒とのかかわり合いの意義―」京都教育大学紀要,127号,11-26.
C角田豊・掛田みちる(2016):「学校臨床力の観点からみた教師の省察を深める事例研究会 ―教職大学院における事例研究の実際―」京都教育大学紀要,129号,47-61.
D角田豊・柴ア朱音(2017):「『学校臨床力』とプロセスレコードによる教師の省察」京都教育大学紀要(京都教育大学),131号,1-15.
E古賀正義・山田哲也(2017):『現代社会の児童生徒指導』 放送大学教育振興会. 
自学自習についての情報 以下を参考書として、自学自習のために活用してほしい。
@文部科学省(2010):『生徒指導提要』
A角田豊(2014):「学校教育とコフートの自己心理学 ―生徒指導、キャリア教育・進路指導、教育相談、特別支援教育において児童生徒との関わりと理解を深めるために―」京都教育大学紀要(京都教育大学),125号,15-29.
B角田豊(1999):『カウンセラーから見た教師の仕事・学校の機能』培風館
C魚住絹代(2012):『子どもの問題 いかに解決するか』PHP新書 
授業の形式 講義形式とグループワークを組み合わせて行う。グループワークの際は、3コースが共に学べるように、グループ分けを行う。 
アクティブラーニングに関する情報 適宜グループワークやロールプレイを交えながら授業を進めていく。 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 課題レポートを3回提出し、それら(75%)と授業での態度(25%)を総合して評価する。 
その他(授業アンケートのコメント含む) 研究科ホームページの開設授業科目に「事例報告フォーマット」についての資料と、テキスト・参考書BCDならびに自学自習についての情報Aがダウンロード用ファイルとして掲載されている。