科目情報
科目名 学校の危機管理 
クラス − 
授業の概要 受講生は危機管理についての自己の実践的理論を振り返り、研究的理論と突き合わせることによって学校の危機管理についての理解を深めるとともに、教職員の危機管理意識の向上と学校の組織的危機管理体制構築のための実践的理論の高度化と実践力の向上を図る。
 学校の危機管理について、多面的に検討し、学校経営上の課題とリーダーの役割を明らかにする。学校でリスク・マネジメントとクライシス・マネジメントを担い、信頼性の高い学校組織づくりを行うための力量を形成する。
 受講生を4人程度のグループに編成し、グループワークを中心に展開する。学校での危機管理に求められるのは、それをより組織的形態において効果的に実施することであるから、授業での活動自体をより組織的に展開し、組織活動に関する理解とスキルを向上することにつなげたいからである。 
授業の到達目標 @学校における危機管理の基本的な考え方と「高信頼性組織」について説明できるようになる。
A広い視野を持って学校のリスクを捉え、リスク・マネジメントのためのリーダー行動がとれるようになる。
B学校の危機管理マニュアルと危機管理体制を構築、改善できるようになる。
C学校の実態分析の手法と校内研修等におけるファシリテーションの手法を身につける。 
授業計画
内容
1【学校危機管理の意義】授業のオリエンテーションを兼ねて、危機管理の基本的な考え方について解説するとともに、学校における危機管理の意義について考察する。 
2【学校におけるリスクの分析@】学校にはどのようなリスクがあるのか、受講者の経験を振り返りながら、KJ法を用いたリスクの分析を行う。
 
3【学校におけるリスクの分析A】KJ法の分析を継続し、その結果を報告するための準備を行う。
 
4【学校におけるリスクの分析B】KJ法の分析結果を発表し、学校におけるリスクの構造について全体的な考察を行う。また、分析のプロセスについて振り返り、学校のリスクを把握する方法について検討する。
 
5【学校におけるリスク・マネジメント@】前回までのリスク分析に基づいて、学校で大きな事件・事故等による災害を起こさないためのリスク・マネジメントの原則について検討する。
 
6【学校におけるリスク・マネジメントA】受講者の現在あるいは過去の勤務校などにおけるリスク・マネジメントの実態について振り返り、学校のリスク・マネジメントの課題を明らかにする。また、それに基づいて、どのようなリーダー行動が必要かを検討する。
 
7【学校のクライシス・マネジメント】東日本大震災時の学校の対応に関する調査及び受講生のクライシス対応の経験に基づいて、学校のクライシス・マネジメントの実態と課題について検討する。
 
8【学校の高信頼性組織化@理論的検討】「高信頼性組織」について理論的に学習し、学校を高信頼性組織にしていくためにはどのような取り組みが考えられるか検討する。 
9【学校の高信頼性組織化A校内研修の開発】学校を高信頼性組織にしていくための校内研修を開発する。
 
10【学校の高信頼性組織化B校内研修の開発】前回に続いて学校を高信頼性組織にしていくための校内研修を開発する。 
11【学校の高信頼性組織化C校内研修の実施】開発した校内研修を模擬的に実施する。 
12【学校の高信頼性組織化D校内研修の実施】開発した校内研修を模擬的に実施する。 
13【学校の高信頼性組織化E校内研修の実施】開発した校内研修を模擬的に実施する。 
14【学校の高信頼性組織化F校内研修の振り返り】実施した校内研修を振り返り、学校の高信頼性組織化の課題を検討する。 
15【まとめ】教職員の危機管理意識と学校の組織的危機管理体制を構築するスクールリーダーの役割とスキルについて総合的に検討する。 
 
テキスト・参考書 参考書
カール E. ワイク・キャスリーン M. サトクリフ『不確実性のマネジメント』西村行功訳,ダイヤモンド社
川喜田二郎『発想法』『続・発想法』中央公論新社
上地安昭編『「学校の危機管理」研修』教育開発研究所
ニクラス・ルーマン『リスクの社会学』新泉社
 
自学自習についての情報 KJ法による分析及び校内研修の開発は授業内では終わらないので、グループでの課題となる。質的データの分析及びファシリテーションの考え方と技法を獲得するために、『発想法』と『続・発想法』は必読。  
授業の形式 4名程度のチームを編成し、授業での諸活動の単位とする。チームでのリスク分析や学校の実態分析、研修の開発・実施・振り返りを行う。チームでの活動と関連付けて、必要な概念を講義形式で解説する。
 
アクティブラーニングに関する情報 グループでのリスク分析、校内研修の開発、実施、振り返りを中心に進める。 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 最終レポート(100%)。最終レポートでは、授業全体の活動を振り返り、危機管理に関する認識とスクールリーダーとしての役割意識、必要なスキルの獲得状況について記述する。学校の危機管理についての認識の深さ、それに基づくスクールリーダーとしての役割意識の妥当性、獲得したスキルの自己評価の妥当性という観点から評価する。 
その他(授業アンケートのコメント含む) 2017年度の授業アンケート結果を見て、適切に対応する。