科目情報
科目名 生態学 
担当教員 今井 健介 
クラス − 
授業の概要 ・生物は(他生物を含む)環境との関わりながら生活してきた。
・生物達の現在の形質は、このような関わりの中でもっともよく生存・繁殖できるよう
 自然選択され、進化したものである。
・本授業では、形質を進化させた多様な「究極要因」とその研究法を解説する。
・また、特定の環境条件で、どのような形質が進化し、どのように機能するのかを考察する方法を学ぶ。 ?
 
授業の到達目標 ・生物のもつ行動や形態を産み出した自然選択を理解・考察できるようになる
・生物のもつ行動や形態には、利益と損失が伴うこと、利益−損失が最大になることを学び、自ら考察できるようになる。
・生物のもつ性質を、物理的環境や周囲の生物との相互作用によって進化したものとして考察できるようになる。
・雌雄や親子など同種個体同士の相互作用のはたらきを知り、その進化を考察できるようになる。
 
授業計画
内容
1イントロダクション 生態学と進化論 
2最適化モデル:行動の進化を考える方法/表現型作戦(Phenotypic gambit)の妥当性 
3動物の「群れ」(1):「群れ」の利益と損失 
4動物の「群れ」(2):「群れサイズ」の進化の最適化モデル 
5動物の「群れ」(3):「なわばり」の経済学 
6共進化(1):種間の相互作用と進化的軍拡競争 
7共進化(2):相利共生の共進化 
8種内相互作用(1):利他行動の進化 −青ひげ選択と血縁選択− 
9種内相互作用(2):利他行動の進化 −互恵的利他行動− 
10種内相互作用(3):協同繁殖と家族形成 
11性と進化(1):有性生殖の進化/異型配偶子有性生殖への進化 
12性と進化(2):性比の進化を考える −進化的安定戦略の考え方− 
13性と進化(3):性差の進化を考える −ランナウェイ理論とハンディキャップ理論− 
14種分化: 生物学的種概念/異所的種分化と同所的種分化 
15個体群: 生物の個体数を考える −個体群の増殖と安定化の仕組み− 
 
テキスト・参考書 テキストは使わないが、次のような本は参考になる。
『生態学入門』 (日本生態学会編) 東京化学同人.
『生態学』 (ベゴン・ハーパー・タウンゼント) 京都大学学術出版会.
『生態学事典』 共立出版.
高校の生物教科書(各社) 
自学自習についての情報 ・各回の内容について適宜小テストを行うので、授業後の復習と答案返却後の振り返りを確実に行うこと。
・第1回:自然選択説の概要を予習しておくこと
・第2〜14回:講義対象となる形質について、一般的知識を予習し、それらを進化させた自然選択を考察しておくこと
・第15回:高校生物教科書で個体群の成長について予習しておくこと。 
授業の形式 講義形式 
アクティブラーニングに関する情報 適宜ディスカッションを行う。 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 小テストおよび小レポート:40% 期末テスト60%で評価する。
欠席の多いものには厳しく対処する。 
その他(授業アンケートへのコメント含む) ・本講義では、やや難解な理論を取り扱うので、納得できるまで時間を掛けて復習することが必要である。
・本講義は本年度をもって閉講する。講義内容の一部は以後、学部授業の「昆虫学」、「生物学II」や
 大学院授業の「生物学特論T」で取り扱う。 
担当講師についての情報(実務経験)  担当講師は博士(農学)を取得しており、応用昆虫学、進化生態学、環境生物学の研究者である。
 特に虫こぶ性昆虫アオキミタマバエと寄主植物アオキの進化的な相互作用を専門的に研究してきた。
研究の概要は本学公式Youtubeチャンネルで紹介している(題名「昆虫の生き様を研究する」)。
 近年ではアゲハチョウ幼虫の生態学的研究と教材化、学内の身近な昆虫のICT教材化に取り組んでいる。