科目情報
科目名 英米文学講読IVA 
担当教員 若狭 智子 
クラス − 
授業の概要 英国の劇作家ウィリアム・シェイクスピア(William Shakespeare) のローマ史劇『ジュリアス・シーザー』(Julius Caesar) の3幕2場〜5幕を購読する。
『ジュリアス・シーザー』のタイトルともなっているジュリアス・シーザー(またはユリウス・カエサル)であるが、本作品では彼は中盤の3幕1場ですでに暗殺されている(シーザーが「ブルータスお前もか (Et tu, Brute?)」と、ブルータスら暗殺者の剣に倒れたことは、シェイクスピア当時にも有名なエピソードであった)。すなわち本授業で読んでいくのは、シーザー死後の人間模様や政治模様となる。
最初に取りあげる3幕2場は、シーザーの死をめぐるブルータスとアントニーによる有名な演説の場面である。ローマの民衆に向けられたこの二つの演説は、シェイクスピアの卓越した表現によって、演説者の性格を浮き彫りにし、移ろいやすい「群衆」を鮮やかに描いている。それ以降の場面では、シーザーの死後に起こる混乱、戦闘、ブルータスらの生きざまが描かれている。
本授業では、シーザー暗殺後の劇後半部分の原文に取り組む。作品をより深く理解していくために、原文の表現方法に慣れ親しんで英語読解能力を高めるだけでなく、内容に沿って、古代ローマにおける共和政から帝政への移行期の緊張した政治状況、「群衆」のモチーフ、亡霊や自刃などの文化的背景などについての解説を加え、さらに実際の上演作品を鑑賞していく。 
授業の到達目標 シェイクスピアの原文ならではの英語表現に取り組み、英語の言語感覚や読解能力を向上させる。
『ジュリアス・シーザー』の時代・文化的背景を学び、様々な演出に触れることで、多様な作品解釈を学ぶ。 
授業計画 下記の範囲はあくまで目安。授業の進捗状況により、多少前後する可能性はある。詳細な予習範囲は毎授業中に指示する。
内容
1ガイダンス
イントロダクション(3幕1場までの概要、タイトルの謎) 
23幕2場(1):ブルータスの演説 
33幕2場(2):アントニーの演説とレトリック 
43幕2場(3):アントニーの演説と群衆 
53幕3場:群衆という怪物 
64幕1場:第二次三頭政治のメンバー 
74幕3場(1):キャシアスとブルータスの口論 
84幕3場(2):私人ブルータス 
94幕3場(3):シーザーの亡霊 
105幕1場(1):アントニーとの対峙 
115幕1場(2):キャシアスとブルータスの別れ 
125幕3場(1):キャシアスの絶望 
135幕3場(2):キャシアスの最期 
145幕5場:ブルータスの最期―ローマ人の名誉と死 
15まとめ 
 
テキスト・参考書 テキスト:William Shakespeare著, Roma Gill編 Julius Caesar (Oxford School Shakespeare) 
自学自習についての情報 予習は必須。各授業時に次回の詳細な予習範囲を指示するので、次の授業までに必ず原文で読んでくること。ただし授業では、指定された範囲の重要な部分に特に焦点を当てるため、すべての英文を詳しく読むわけではない。また範囲に含まれない部分も、作品の全体像を把握するために、翻訳等を活用して内容を確認してくること。 
授業の形式 講義・演習 
アクティブラーニングに関する情報 グループディスカッションやペアでの台本音読等を行う。 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 1)クイズ(30%):各授業の最後に行う
2)グループディスカッション等(20%)
3)授業内発表等(10%)
4)期末試験(40%) 
その他(授業アンケートへのコメント含む) 欠席が授業回数の1/3以上になった受講生には単位は認められない。
遅刻・早退2回で1回の欠席とみなす(30分以上の遅刻・早退は欠席扱いとなる)。 
担当講師についての情報(実務経験) 担当教員は、自身のシェイクスピア研究や観劇経験を通して得た知識をもとに、文学作品の歴史的背景を紹介しながら授業をすすめ、文学のことばの表現から多様な解釈を読みとる助けをする。また高等学校および大学での英語教員としての経験も生かして、語彙や文法を丁寧に読み解く内容も含める。