科目情報
科目名 社会性の発達支援特講 
担当教員 亀口 公一 
クラス − 
授業の概要 近年、学校教育・児童福祉・小児医療分野において「発達障害」が重要な課題となり、改めて「社会性の発達とは何か」が問われている。
また、学校の特別支援教育や「障害児」通所支援事業(児童福祉法に基づく児童発達支援システム)によって知的/発達障害への療育支援が広がりつつあるが、発達心理学(児童心理学)の知見に基づく発達支援は、未開拓の臨床・実践分野であり、学校教育と地域療育との連携はいまだ試行錯誤の段階といえる。
このような教育現場、地域療育現場において、日々子どもに関わる教員や児童指導員(療育支援員)が子どもの社会性の発達について充分に理解して置くことは大変重要である。
本科目では、元来社会的存在である人間が、子ども期にどのように心理社会的機能を発達させるのか、特に情動発達を軸として解説する。
さらに、社会性発達の理論的概観だけではなく、WHOの国際生活機能分類(ICF)の生活機能評価に基づく個別支援計画の実際や発達療育の現場も紹介する。

 
授業の到達目標 1.社会化/個性化が著しい初期発達において、アタッチメント形成の重要性を理解することができる。
2.発達障害の子どもの主体性・自発性を尊重する発達支援のあり方を理解することができる。
3.子どもの心理発達に関わる教員や心理職に必要な知識・技法や評価法を体験することができる。 
授業計画
内容
1オリエンテーション−発達療育へのいざない 
2情動のしくみと役割(情動の役割と発達を含む)−ワロンの情動論を中心に 
3社会性の発達と自己調整−バウアーの発達理論を中心に 
4アタッチメントの発達理論と初期愛着行動に関する基本的理解(社会・情動発達の基礎を含む) 
5パーソナリティーと自我の形成過程(自己の発達を含む) 
6コミュニケーション能力と基本的対人関係形成の発達過程 
7情動ストレスと社会生活能力のアセスメント(社会・情動アセスメントを含む) 
8自閉症スペクトラム障害(ASD)における社会・情動の支援−ICF(国際生活機能分類)の心理社会的機能を踏まえて
 
9不適応行動(チック等)に対する対処と支援(問題行動への社会・情動支援を含む) 
10児童虐待と愛着障害への介入(関係性の病理と支援を含む) 
11心理的危機と心的外傷への支援 
12発達障害に見られる感覚過敏への対応 
13個別発達支援計画の作成と家族支援 
14「気になる子」の社会性発達チェック 
15まとめー発達療育の可能性 
 
テキスト・参考書 授業時に紹介するとともに、必要に応じて資料を配付する。 
自学自習についての情報 前回の授業を振り返り、毎回質問、疑問点など問題意識を持って授業に臨むこと。日常場面での乳幼児の行動観察(5分程度、自由記述) 
授業の形式 講義・質疑・ワークショップ 
アクティブラーニングに関する情報 グループデスカッション、オープンダイアローグ(開かれた対話)
 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 授業への参加度(50%)、課題レポート(50%) 
その他(授業アンケートへのコメント含む) 授業内容への積極的な意見であれば、批判や異論は大いに歓迎。 
担当講師についての情報(実務経験) 本授業では、1回のみ、障がいのある当事者をゲストスピーカーとしてお招きしている。