科目名 |
国際教育論 |
クラス |
− |
授業の概要 |
国際教育とは一般に、@国際理解のための教育、A国際協力のための教育、B国際平和のための教育、C人権についての教育、D基本的自由についての教育という、互いに関連する5つの教育の総称として用いられる。そこで求められているのは、国際的な事象や外国、異文化に関する単なる学習ではなく、国際化・グローバル化していく社会とその課題のありようを深く捉えることである。 それでは現代日本社会が直面している課題とはどのようなものとして捉えられるのか。本授業では、マイノリティ、歴史、多文化共生を主たる軸としながら、この問いに迫っていきたい。授業の前半では、他国の歴史・経験も踏まえながら日本社会の課題を捉え、後半はそれらを踏まえたうえで、学校ならびに教育のあり方について考察していく。 |
授業の到達目標 |
・多文化共生社会について考えるための基礎的な概念と視角を習得する。 ・他国における人種主義、植民地主義、歴史修正主義の歴史と現状を理解し、日本社会との異同を整理できる。 ・多文化共生社会を築いていくうえで日本社会が直面している課題を理解し、そのことを踏まえた国際教育の方法を構想することができる。 |
授業計画 |
1 イントロダクション 2 上原専録「現代と平和」を読む@――歴史的認識を媒介した教育とは 3 上原専録「現代と平和」を読むA――現代をどう捉えるか 4 アメリカ黒人の歴史 5 ナチスの人種主義 6 ヘイトスピーチ 7 多文化共生社会とは何か――マイノリティとマジョリティの関係 8 中間テスト 9 大日本帝国による植民地支配と人間形成――世代間に生じた亀裂 10 朝鮮学校――教育をとおした脱植民地化 11 公立学校における外国人教育 12 「ニューカマー」の子どもの人間形成――いちょう団地の子どもたち 13 公立学校で働くマイノリティ教員の経験――障害者、アイヌ、外国籍者、部落出身者、性的少数者 14 学校と教育のあり方を再考する 15 期末テスト |
テキスト・参考書 |
テキストは指定しない。参考文献としては、さしあたり下記をあげておく。 ・アルベール・メンミ著、白井成雄・菊地昌実訳(1968=1971)『差別の構造――性・人種・身分・階級』合同出版 ・ガッサン・ハージ著、保苅実・塩原良和訳(1998=2003)『ホワイト・ネイション――ネオ・ナショナリズム批判』平凡社 ・岩渕功一編(2010)『多文化社会の〈文化〉を問う―共生/コミュニティ/メディア』青弓社 ・上原専録(1958)『歴史意識に立つ教育』厚徳社 ・師岡康子(2013)『ヘイト・スピーチとは何か』岩波書店 ・田中宏(2013)『在日外国人 第三版――法の壁、心の溝』岩波書店 ・呉永鎬(2019)『朝鮮学校の教育史――脱植民地化への闘争と創造』明石書店 ・倉石一郎(2009)『包摂と排除の教育学――戦後日本社会とマイノリティへの視座』生活書院 ・馬渕仁編(2011)『「多文化共生」は可能か――教育における挑戦』勁草書房 ・額賀美紗子ほか編(2019)『移民から教育を考える――子どもたちをとりまくグローバル時代の課題』ナカニシヤ出版 |
自学自習についての情報 |
・授業時に配布する事前資料は、該当箇所を必ず1回以上読んだうえで参加すること。 ・普段から、マイノリティ、人権、多文化共生と関わる報道等に関心を持ち、それらと授業内容との関係を考えるようにする。 ・配布資料や授業中にあげた参考文献等を用いて授業内容を復習し、理解を深めておくこと。 |
授業の形式 |
講義、映像視聴、ディスカッションなど |
アクティブラーニングに関する情報 |
グループ・ディスカッションを数回行う |
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) |
・授業内課題(毎週)30% ・中間テスト 30% ・期末テスト 40% |
その他(授業アンケートへのコメント含む) |
協働的な学びに対する積極的な態度を期待します。 |
担当講師についての情報(実務経験) |
山城地方人権教育行政担当者等研究協議会(2020年)講師、京都市立御池中学校2年生の人権学習で講演(2017年〜2019年)、同志社大学日朝関係史講座(2016年、2018年)講師、京都人権啓発企業連絡会新入社員合同研修会(2017〜2019年度)で基調講演、第50回人権交流京都市研究集会第4分科会(2019年)で指導・助言、京都市立高野中学校教員研修会(2018年)講師、京都市立楽只小学校教員研修会(2016年)講師 |