科目名 |
学校体育マネジメント論 |
クラス |
− |
授業の概要 |
本授業のテーマは,21世紀生涯スポーツ社会の実現化をめざす「学校体育経営学」の基本的構造と役割を理解することである.そのため,本授業では,学校や地域等における生涯スポーツの推進や競技スポーツの発展,およびスポーツのビジネス化・産業化に必要不可欠な経営学やマネジメントの基礎理論を学習し,学校体育経営の専門的知識と実践能力を習得することを目標とする. 具体的には,「オリエンテーション:学校体育マネジメント論を学習する意義」(1回)をはじめ,「T.行政の中の体育・スポーツ:わが国のスポーツ振興システムの基本的理解」(3回),「U.体育・スポーツ経営学の意義とその基礎理論」(2回),「V.スポーツと人間教育:学校体育経営の構造と特性」(6回),「W.スポーツと地域社会:学習社会としての『学校』の役割」(2回),そして「X.スポーツと産業・ビジネス社会:スポーツマネジメントを学ぶ」(1回)といった5つのパートから学校体育経営学の基本的構造と役割について解説する. 特に,「W.スポーツと人間教育:学校体育経営の構造と特性」では,教職をめざす学生の受講を考慮し,「学校教育としてのスポーツ」の経営に着眼し,「児童生徒のスポーツ行動の成立・維持・発展と豊かなスポーツ生活の形成・定着」をめざした体育・スポーツ経営現象(体育の授業づくり,健康安全・体育的行事の企画運営,必修クラブ/運動部活動の経営,自由時間の施設・用具開放など)について詳説していくと同時に,効果的かつ効率的な学校体育経営の実践に必須の経営過程論(PDCAサイクル)についても解説する. |
授業の到達目標 |
@21世紀生涯スポーツ社会を創造するための経営・管理の意味内容を幅広く考察できる. A児童生徒の体育・スポーツ活動を創出する学校体育経営の構造を図示することができる. B児童生徒の発育・発達段階に応じた体育・スポーツ活動の実践方法と課題について説明することができる. C体育・スポーツの本質を理解し,児童生徒の豊かなスポーツ生活の形成・定着に必要な学校体育(体育・スポーツ事業)の 全体的な計画内容について具体化できる. D学校体育の推進と総合型地域スポーツクラブとの関係性について分析することができる.
受講生には,上記@〜Dのような学校体育経営に関する基礎的な知識・技術や実践能力などを習得することにより,小学校教員(体育科リーダー)や中学校・高等学校保健体育科教員にとって必須の学校経営・学級経営能力や体育・スポーツ経営能力が形成されていくことが学習効果として大きく期待される. |
授業計画 |
回 |
内容 |
1 | オリエンテーション:学校体育マネジメント論を学習する意義(1回目) −学校体育マネジメント論を学習する意義等の説明(シラバスの確認,本授業の目的・内容・意義,学習の進め方, および評価の方法など). |
2 | T.行政の中の体育・スポーツ:わが国のスポーツ振興システムの基本的理解(2〜4回目) T−1 わが国のスポーツ振興システムとスポーツ行政のしくみ |
3 | T−2 スポーツ行政の役割とスポーツ政策 |
4 | T−3 わが国におけるスポーツ振興の現状と課題 |
5 | U.体育・スポーツ経営学の意義とその基礎理論(5〜6回目) U−1 体育・スポーツ経営の概念と構造 |
6 | U−2 体育・スポーツ経営と豊かな運動生活・スポーツ生活 |
7 | V.スポーツと人間教育:学校体育経営の構造と特性(7〜12回目) V−1 児童生徒の豊かなスポーツ生活を創る「学校体育経営」の考え方 |
8 | V−2 プログラムサービス事業論の展開@:教科体育の経営(体育の授業づくり) |
9 | V−3 プログラムサービス事業論の展開A:健康安全・体育的行事の企画運営 (グループワーク/グループディスカッション:みんなで運動会・体育祭を企画してみよう) |
10 | V−4 クラブサービス事業論の展開:運動部活動の経営と顧問の基本的任務 |
11 | V−5 学校体育経営組織論の展開:「協働システム」としての保健体育科組織 |
12 | V−6 保健体育科教師のコンピテンシー(職能)とキャリア形成 |
13 | W.スポーツと地域社会:学習社会としての『学校』の役割」(13〜14回目) W−1 地域スポーツの推進と「新しい公共」型学校づくり |
14 | W−2 地域スポーツ経営と総合型地域スポーツクラブの現代的意味 |
15 | X.スポーツと産業・ビジネス社会:スポーツマネジメントを学ぶ(15回目) |
|
テキスト・参考書 |
1.テキストについては,特に指定しない.毎回の授業時に講義用資料(オリジナル)を配付する. 2.以下に示す参考書は,本授業を理解するのに有益である. ・柳沢和雄・木村和彦・清水紀宏 編著「テキスト 体育・スポーツ経営学」(大修館書店,2017). ・柳沢和雄・清水紀宏・中西純司 編著「よくわかるスポーツマネジメント」(ミネルヴァ書房,2017). ・山下秋二・中西純司・松岡宏高 編著「図とイラストで学ぶ 新しいスポーツマネジメント」(大修館書店,2016). ・友添秀則 編著「運動部活動の理論と実践」(大修館書店,2016). ・ODECO子ども生活研究所 編「イマドキの[部活動]中学校の現状に問題提起!」(メタ・ブレーン,2011). ・松永淳一 編著「子どもの未来を拓け 学校体育」(アイオーエム,2007). ・山下秋二ほか3名 編著「改訂版 スポーツ経営学」(大修館書店,2006). ・日本体育スポーツ経営学会 編集「テキスト総合型地域スポーツクラブ」(大修館書店,2004). ・宇土正彦 編著「最新 学校体育経営ハンドブック」(大修館書店,1994). |
自学自習についての情報 |
この授業科目は,講義2単位(大学設置基準;1単位45時間?2単位=90時間,90時間?45分授業=4,050分)であるが,実際の授業時間の合計は「週90分?15週=1,350分」(=30時間分)にしかならないため,受講生が本授業2単位を修得するためには,授業時間とは別に不足分の2,700分(=1週間に180分?15週=60時間分)の課題(自主学習等)をホームワークとすることが必要である. 授業の振り返り(学習ポートフォリオの作成と講義用資料の復習)とあわせて,必要に応じて,授業の中で出された課題等について,上記の参考書や関係資料などを読み込んで課題レポート等を作成し,提出することが望まれる. |
授業の形式 |
プレゼンテーションソフト(液晶プロジェクター)を用いて,講義用資料(オリジナル)に基づいて講義・演習形式で授業を行う. |
アクティブラーニングに関する情報 |
必要に応じて,授業の中で意見や発表を求めたりする.とりわけ,第8回目の「教科体育の経営(体育の授業づくり)」では「体育の年間計画づくり」ワーク(PBL型)や,第9回目の「健康安全・体育的行事の企画運営」においては「みんなで運動会・体育祭を企画してみよう」というテーマでグループワーク/グループディスカッションを行う予定である. その際,受講生の考え方を引き出すために,受講生同士の活発な議論を促すよう配慮していきたい. |
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) |
講義への主体的な参加態度・学習意欲・毎時間配付するコミュニケーションペーパーへの記載内容などによる平常点評価,課題レポートの作成内容・提出状況,および期末試験を総合的に評価する。 評価基準は,以下に示す通りである. (1) 平常点評価:30% (2) 授業内容に関連する課題レポートの作成内容・提出状況:20% (3) 期末試験:50% なお,正当な理由のない遅刻は平常点の減点対象となると同時に,開講授業時数の1/3以上を欠席した場合は単位認定することができない. |
その他(授業アンケートへのコメント含む) |
・受講生の方でも教員となるものとしての心構えを持って授業を受けてほしい. ・講義中に配付するコミュニケーションペーパーは,毎授業の学習の振り返りですので,自分自身が学習したことをしっかり と記載してください. ・授業に関する質問や学習相談がある受講生は,授業終了後にお願いします. ・教育実習等で授業を欠席する場合は,各自でその時間の学習内容を理解しておいてください. |
担当講師についての情報(実務経験) |
担当講師はこれまでに,地域スポーツの経営や学校の体育経営に関する講演・講習会・研修会等の講師を数多く務めた経験を有するとともに,大学(前任校)にて男子バレーボール部(指導当時は1部リーグ所属チーム)の顧問(部長・監督)を務め,20年間の指導経験を有する. また,地域スポーツの推進に関しては,(公財)日本スポーツ協会のアシスタントマネジャーの資格を有し,多くの総合型地域スポーツクラブの育成や経営のあり方などに対する助言・指導も行ってきた.こうした現場経験を通して学んだことをこの授業にも活かしていきたい. |