科目名 |
健康科学論 |
クラス |
− |
授業の概要 |
1.精神分析的な立場による子どもの心身相関について学び、子どもへの指導力実践力を高める。 2.ストレスと心身の失調との関係を理解する。 3.自己健康管理、児童生徒指導、教職員支援に必要な健康科学すなわち学校での実践に生きる健康心理学を学ぶ。 |
授業の到達目標 |
1.口唇期、肛門期、エディプス期、潜伏期、性器期に退行・固着する代表的障害や疾病についての理解を教育に生かせる。 2.1人1人の幼・児童・生徒の身体や心理、心身相関、防衛機制の事例性に気付き、評価ができる。 3.自分と子ども達や周りの人々、それぞれの健康増進のための基礎知識を身につけ、今まで以上に人を愛せるようになる。 |
授業計画 |
回 |
内容 |
1 | オリエンテーション、「拒食と拒絶、過食と依存」の摂食障害:口唇期(1) |
2 | 精神分析的健康科学総論:精神分析・アタッチメント・メンタライゼーションという視点 |
3 | 「愛情代替の食物」と関係する糖尿病と肥満:口唇期(2) |
4 | 「大人のしゃぶり」喫煙と「大人のミルク」飲酒・精神作用物質依存:口唇期(3) |
5 | 「トイレット・トレーニング」下痢・便秘・腹痛・ガスの過敏性腸症候群:肛門期(1) |
6 | 「分かっているが止められない行動と完全主義的思考」強迫性障害:肛門期(2) |
7 | 「見てと注目を求める」転換性障害と「虐待に関係した」解離性障害:エディプス期(1) |
8 | 「スカート(ズボン)を履くのが苦痛」性別違和:エディプス期(2) |
9 | 「同級生の目が怖くて教室に入れない」社交不安障害:潜伏期(1) |
10 | 「過剰適応破綻、受動回避、受動攻撃、衝動制御困難」に分かれる不登校下位分類:潜伏期(2) |
11 | 「考えがまとまらず、幻覚や妄想を持つ」統合失調症:性器期発症の口唇期退行固着(1) |
12 | 「ショートしそうな空回りと止まりそうな低回転」双極性障害と抑うつ障害:性器期発症の口唇期退行固着(2) |
13 | 「個性的すぎる」パーソナリティ障害と先天的な神経発達症との類似や相違:性器期(3) |
14 | 自己免疫疾患・悪性腫瘍・HIV(細胞レベル自己破壊)やリストカット・自殺(身体レベル自己破壊)とタナトス:性器期(4) |
15 | 精神分析的健康科学のまとめ |
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テキスト・参考書 |
教科書「医療と健康のための心理学」青木知子編 北樹出版 ISBN978-4779305696 参考書「健康心理学事典」日本健康心理学会編 丸善出版 ISBN978-4621303764 「子どもの精神保健テキスト改訂第2版」古荘純一著 診断と治療社 ISBN978-4787824196 「パーソナル 精神分析事典」松木 邦裕著 金剛出版 ISBN978-4772418027 「学校コミュニティへの緊急支援の手引き(第3版)」窪田 由紀編 金剛出版 ISBN978-4772417976 「メンタライジングによる子どもと親への支援」N. ミッジリー ら著 北大路書房 ISBN978-4762831393 |
自学自習についての情報 |
より深いレベルの理解のため事例やより詳しい参考書の内容を加えて授業が展開するので、教科書は主に自学自習において頻繁に参照していく必要がある。 教科書や配付資料、図書館、インターネットでの参考文献を参考に用いて確実にレスポンス課題を解答して復習しよう。 健康科学分野は、教員採用試験教養問題や公務員試験教養問題にも出題されるため、日々の継続的な学習が健康科学論の理解を深めていくだけでなく、4回生での教採や公務員試験の合格力向上にもつながるはずである。 |
授業の形式 |
事例を中心に履修学生の興味に添うよう発展させる展開を図る。必要に応じて視聴覚教材(出演NHK教育番組等)を用いる。 グループワークがしやすいようにあらかじめ4人になりやすいように着席する(ただし制限のためワークしない場合もあり)。 指定教科書は、初回授業から持参することが望ましい。 |
アクティブラーニングに関する情報 |
感染対策上の問題が許せば、できる限り事例についてグループワークを実施する。 レスポンス課題(振り返り:教員採用試験択一問題形式準拠)を次の授業までに積極的に学習しなければならない。 |
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) |
授業中に実施するレスポンス課題15%、期末定期試験85%によって成績を評価する。 ただし感染対策上試験が実施できない場合には、期末定期試験をレポートに代替して85%とする。 |
その他(授業アンケートへのコメント含む) |
理解を助けるために授業中に言及する事例について守秘義務に配慮する必要がある。 教採に必要な健康周辺の問題についてできる限り取り扱うと共に、教員になってからもこころとからだの健康面で指導力が発揮できるための実践的な内容を含む。 |
担当講師についての情報(実務経験) |
健康科学については、長年心療内科医師として臨床及び研究を続けている。臨床心理士・公認心理師でもある。 教育相談臨床については、県総合教育センターや県・市教育委員会の顧問医として、生徒・親面接、教育主事やスクールカウンセラーのスーパーバイズ、教職員の休職復職支援の実務経験が豊富にある。 「子どもの成長を支える発達教育相談」第4版 鎌倉利光ら編著 森孝宏分担執筆 北樹出版 ISBN978-4779305481 「はじめて学ぶ生徒指導・教育相談」本間友巳・内田利広編著 森孝宏分担執筆 金子書房 ISBN978-4760832620 精神分析学に関しては、1989〜90年度フランス政府給費留学生としてパリ精神分析協会心身医学研究所研修生、2014年ロンドン・アンナフロイト・センターにて思春期メンタライゼーション準拠精神療法治療者登録。 |