科目情報
科目名 博物館教育論 
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授業の概要 博物館の社会的役割のひとつとして、博物館を利活用した博物館教育がある。博物館での展示・普及事業もその一環と言えるが、学芸員が教育担当者として学校教育現場などと連携して実施するケースが多い。博物館教育を通じて生涯学習の場を提供し、地域住民との地域づくりにも貢献できる。 2019年4月には文化財保護法が改正され、博物館と関連深い文化財保護行政が大幅に見直された。文化行政と文化財保護行政との連携が、地域一体化した形で図られている。今後は博物館教育が地域・教育機関などで果す役割も大きくなる。講義では、貴重な資料の実物利活用が可能で、本物の実感を学習内容に反映した「場」を提供できる博物館教育の特性などについて、学芸員としての基礎的知識と指導方法などの習得を図る。あわせて、現代社会に求められている博物館教育の基本的な役割と機能についても言及する。また、2020年の新型コロナウイルスの世界的感染の拡大が、今後の博物館教育へどのような影響を与えるのかについても考えたい。 
授業の到達目標 1.博物館教育の特性と学習のための具体的な利用・活用について理解し、概要を説明できる。
2.博物館教育と学校教育との連携・協力の基礎知識と方法を習得し、具体的事例への理解を深める。
3.博物館教育における学芸員の使命・役割とその実践のための基礎的知識とその方法論を習得する。
4.地域社会・生涯学習における博物館教育の使命・役割について認識し、具体的事例に見られる効果・成果を説明できる。
 
授業計画
内容
11.博物館教育の全般について
各論1 教育論とは / 各論2「学習」と「学び」とは その1  
21.博物館教育の全般について
各論3 「学習」と「学び」とは その2 
31.博物館教育の全般について
各種4 教育と学芸員
 
42.博物館における教育プログラムについて
各論1 博物館での「利用要素」とは / 各論2 博物館的「学習」とは
 
52.博物館における教育プログラムについて
各論3 博物館的「学び」とは / 各論4 博物館教育プログラム充実のキーワード 
63.博物館教育の経過と現状
各論1 経過と成立要素  
73.博物館教育の経過と現状
各論2 現状と目的要素 / 各論3 教育普及担当者(ミュージアムエデュケーター)の配置  
84.博物館教育の実施環境について
各論1 教育普及担当者(ミュージアムエデュケーター)の現状と展望
 
94.博物館教育の実施環境について
各論2 施設・設備・備品等の予算的措置 / 各論3 実施管理体制の確立 
105.博物館教育と学校教育との連携
各論1 新学習指導要領(小学校学習指導要領)  
115.博物館教育と学校教育との連携
各論2 各科目及び総則と博物館 / 各論3 今後の学校教育との連携
 
126.博物館教育の具体的事例1
各論1 地方自治体事例1(みのかも文化の森) / 各論2 その他(関連事例施設)   
137.博物館教育の具体的事例2
各論1 地方自治体事例2(亀岡市文化資料館) / 各論2 その他(関連事例施設)   
148.博物館教育と地域連携具体的事例3
各論1 地方自治体事例3(亀岡市文化資料館) / 各論2 その他(関連事例施設)   
159.博物館教育の総括について
各論1 博物館教育プログラムの展開
各論2 博物館教育充実のキーワード / 博物館教育とポストコロナへの対応   
 
テキスト・参考書 テキスト:特に指定なし。講義ごとに講義用レジメ・関連資料を配布。講義内容の理解促進に活用すること。
参考書:『現代博物館学入門』栗田秀法編 ミネルヴァ書房 2500円+税 2019年(ISBN978-4-623-08466-1)
『博物館と文化財の危機』岩城卓二編 人文書院 2300円+税 2020年(ISBN978-4-409-24131-8)
上記の書籍は、現代における博物館全般の諸問題・課題について考察言及している。 講義内容の理解促進に是非、参考にしてもらいたい。 
自学自習についての情報 各回の講義を通じて、普段から博物館に関する事柄や報道などに関心を持つこと。具体的には各種雑誌・新聞・放送などに関連記事・報道があれば読んだり見たりして、積極的に知識習得に努めること。必要に応じて講義でも関連資料として紹介する。復習として各回の講義内容・関連資料などを基にして、講義用レジメを再確認すること。また、講義用レジメ・関連資料には通し番号をつけるので、ファイリング整理すること。予習として次回用に掲示した講義用レジメと関連資料がある場合には、事前に読んでおくこと。 
授業の形式 講義形式。各回の講義用レジメ・関連資料を配布する。講義では適時、板書することもある。講義内容や板書内容のメモ・記録に講義用レジメの余白を積極的に活用すること。 
アクティブラーニングに関する情報 特記事項なし。 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 1.平常点(40%)
出席状況、受講態度、コメントシートなどの提出。
2.定期テスト(60%)。
記述形式の筆記テスト。

 
その他(授業アンケートへのコメント含む) 学芸員の資格取得のための講義である点を自覚して、真摯な姿勢と態度での受講を望む。また、博物館の展示会や講演会などの各種事業への関心を持ち、積極的に機会を作って能動的に参加し、その体験・実感から現場を知ることが、講義内容のさらに深い理解につながる。特に、博物館教育論では、子供向けの各種イベントに関心を持つことが参考となる。さらに、放送・新聞などのメディアに注意して、博物館関係の番組・記事などをチェックすることが望ましい。現代社会の情勢下での博物館を巡る様相・現状をリアルタイムで認識することが学修する上で有効である。 
担当講師についての情報(実務経験) この講義においては、長年にわたる公立資料館(亀岡市文化資料館)での学芸員、館長としての実務経験に基づいた具体的事例を、関連事項・項目において積極的に紹介し、博物館教育の認識と理解の促進を図りたいと考えている。