科目情報
科目名 博物館経営論 
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授業の概要 現代社会における博物館の経営をめぐる社会的・経済的環境は、「冬の時代」と呼称された時期から刻々と変化を遂げ、2020年の新型コロナウイルスの世界的感染拡大という、さらに厳しい状況下にある。博物館が持つ目的と役割を十分に発揮するための経営的理念の手法が求められ、かつ行政・財政制度における博物館の位置付けが、重要であることは言うまでもない。また、2019年4月に文化財保護法が改正され、文化行政と文化財保護行政の見直しが図られた。これからの博物館経営のあり方と、その使命・役割について、あらためて問われている。講義では、施設・設備の管理維持、調査・研究・展示・普及事業の展開、職員体制確立と人材育成、その根拠となる予算作成と執行など、具体的な実務内容の把握と理解を図るとともに、博物館としての基本的経営理念・基準・指針・方針の理解と、まちづくりとも連動する博物館事業の方法論を習得する。学芸員としての博物館経営に関する全般的な知識を深める。 
授業の到達目標 1.博物館経営における経営理念とそれと連動する原則・行動規範について理解し、概要を説明できる。
2.博物館経営における各種事業の内容を理解し、基本的経営理念・基準・指針・方針の関連性についての知識を習得する。
3.博物館経営における施設・人事管理の具体的内容の理解と、その前提となる予算作成・執行に関する知識を習得する。
4.博物館経営における事業評価の必要性とその意義についての理解を深めるとともに、危機管理の重要性を認識して、概要を説明できる。

 
授業計画
内容
11.博物館における経営論全般
各論1 博物館経営とは / 各論2 博物館経営のキーワード1 
21.博物館における経営論全般
各論3 博物館経営のキーワード2 / 各論4 博物館経営の総括図 
32.博物館における原則と職員の行動規範について
各論1 博物館の原則(10項目) 
42.博物館における原則と職員の行動規範について
各論2 博物館関係者の行動規範(10項目) 
53.博物館事業計画の基準・指針・方針について
各論1 博物館法「望ましい基準」について  
63.博物館事業計画の基準・指針・方針について
各論2 市民協働と地域連携 
74.地方自治体博物館を事例として
各論1 地方自治体博物館の事例(亀岡市文化資料館)  
85.博物館経営における法律的根拠について
各論1 関連法律などについて / 各論2 地方自治体条例などについて(亀岡市・亀岡市教育委員会)
 
96.博物館における各種事業について
各論1 収集・保管・調査事業 / 各論2 展示事業 / 各論3 普及・研究・情報公開事業  
107.博物館施設・人事の管理運営について
各論1 施設の管理運営 / 各論2 人事の管理運営 / 各論3 施設・人事の経営主体  
118.博物館財務予算の管理運営について
各論1 博物館の財務予算の体系図 / 各論2 地方自治体博物館の事例(亀岡市文化資料館)
 
129.博物館の事業評価について
各論1 事業評価の意義と必要性 / 各論2 事業評価のPDCAの展開と実践
 
1310.博物館における危機管理について
各論1 日常的リスクマネジメント / 各論2 防火・防犯・防災体制 
1410.博物館における危機管理について
各論3 大規模災害対応体制(新型コロナウイルス感染防止対策含む) 
1511.博物館経営の現状と課題
各論1 博物館経営の現状 / 各論2 博物館経営の課題と展望 
 
テキスト・参考書 テキスト:特に指定なし。講義ごとに講義用レジメ・関連資料を配布。講義内容の理解促進に活用すること。
参考書:『現代博物館学入門』栗田秀法編 ミネルヴァ書房 2500円+税 2019年(ISBN978-4-623-08466-1)
『博物館と文化財の危機』岩城卓二編 人文書院 2300円+税 2020年(ISBN978-4-409-24131-8)
上記の書籍は、現代における博物館全般の諸問題・課題について考察言及している。 講義内容の理解促進に是非、参考にしてもらいたい。 
自学自習についての情報 各回の講義を通じて、普段から博物館に関する事柄や報道などに関心を持つこと。具体的には各種雑誌・新聞・放送などに関連記事・報道があれば読んだり見たりして、積極的に知識習得に努めること。必要に応じて講義でも関連資料として紹介する。復習として各回の講義内容・関連資料などを基にして、講義用レジメを再確認すること。また、講義用レジメ・関連資料には通し番号をつけるので、ファイリング整理すること。予習として次回用に掲示した講義用レジメと関連資料がある場合には、事前に読んでおくこと。 
授業の形式 講義形式。各回の講義用レジメ・関連資料を配布する。講義では適時、板書することもある。講義内容や板書内容のメモ・記録に講義用レジメの余白を積極的に活用すること。 
アクティブラーニングに関する情報 特記事項なし。 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 1.平常点(40%)
出席状況、受講態度、コメントシートなどの提出。
2.定期テスト(60%)。
記述形式の筆記テスト。 
その他(授業アンケートへのコメント含む) 学芸員の資格取得のための講義である点を自覚して、真摯な姿勢と態度での受講を望む。また、博物館の展示会や講演会などの各種事業への関心を持ち、積極的に機会を作って能動的に参加し、その体験・実感から現場を知ることが、講義内容のさらに深い理解につながる。特に、博物館経営論では、展示普及事業への関心だけではなく、施設管理運営に関わる業務にも意識を向ける形で博物館を見学することも有意義である。さらに、放送・新聞などのメディアに注意して、博物館関係の番組・記事などをチェックすることが望ましい。現代社会の情勢下での博物館を巡る様相・現状をリアルタイムで認識することが学修する上で有効である。 
担当講師についての情報(実務経験) この講義においては、長年にわたる公立資料館(亀岡市文化資料館)での学芸員、館長としての実務経験に基づいた具体的事例を、関連事項・項目において積極的に紹介し、博物館経営の認識と理解の促進を図りたいと考えている。