科目情報
科目名 地理学概論 
クラス − 
授業の概要 今年度から実施される高等学校学習指導要領によって「地理総合」が必履修化されます。高等学校で「地理」を履修していない方でも、高等学校に奉職すれば地理歴史科で「地理総合」の担当者となることが必至です(地理を専門としない現職教員が「地理総合」担当を忌避する公算が高いため)。この影響は、当然ながら中学校や小学校にも及びます。また、小学校社会科は、その大部分が地理的な内容です。つまり「地理」が苦手であれば今後の社会科教員や地理歴史科教員に採用されるのは難しくなりまし、小学校教員では社会科の授業が上手く運べません。そこで下記の「授業計画」に沿って、第1〜9回では地理学の基礎に関わる知識の習得を図ります。第10回は第9回までの範囲についての到達度確認テスト、第10回(到達度確認テストの後)〜第15回は、地理学に不可欠な地誌的視点に立脚した地域観察、さらに観察結果の総括的把握の習得を図ります。高等学校で「地理」を履修していない方でも無理なく受講できるよう工夫しますので、安心して受講してください。 
授業の到達目標 自然科学・人文科学・社会科学の全てに及ぶ「総合的な学問」としての地理学の魅力を,理解し伝授できるようになります。地理学に関心を持ってそれを理解し応用することは,賢くスマートに日常生活を送ることに直結します。
【ディプロマポリシーに関わる記述】
1.全体を通じて,地理学が得意とする文化・社会・自然に対する基礎的な知識とその習得方法が身につきます。
  また10回目以降では,地域研究の啓蒙書に触れることで,多文化・異文化に関する知識が得られます。《知識・理解》
2.地図作成や地域観察の基礎的な技法が習得できます。《汎用的スキル》
3.地理学的に地域を観察できる習慣が身につきます。《態度・志向性》 
授業計画
内容
1ガイダンス、教科書Aの第1章「これから地理学を学ぶ人のために」 
2教科書Aの第2章「大学で学ぶ地理学」と第3章「地理学を学んで社会に出る(就職・出口)」 
3教科書Aの第4章「地理学の諸分野、地域区分の概念」 
4教科書Aの第5章「地理学研究のための基本文献と情報検索」 
5教科書Aの第6章「地図類と空中写真・衛星画像の利用」 
6教科書Aの第7章「主題図の作成」 
7教科書Aの第8章「統計とその利用」 
8教科書Aの第10章「フィールドワーク」
★第9章は専門的技法に関わる部分が多くPCが手元に無いと難しいため割愛します。第9章についのアウトラインや学習方法については講義中に述べますが、第10回目に実施する到達度確認テストでは出題範囲の対象外です。 
9教科書Aの第11章「プレゼンテーション、卒業論文の執筆」 
10第1回到達度確認テスト(50分、範囲は1回目〜9回目で扱った内容。★第9章は除外)、
10回目以降のガイダンス「地理学における地誌学的な視点の重要性」、教科書Bの序章「バンクーバーはどういう都市か?」 
11教科書Bの第1章「バンクーバーへのいざない」 
12教科書Bの第2章「動く、乗る、楽しむ - 乗ってみたい珍しい乗りものたち」 
13教科書Bの第3章「バンクーバーのエッセンス - ダウンタウンとスタンレーパーク」の第1節〜第3節 
14教科書Bの第5章「ぶらぶら、らぶらぶ市街地」
★第4章と第6章は自学自習とします。 
15第2回到達度確認テスト(60分、範囲は10回目以降の教科書B、第4勝と第6勝を含む)
★準備勉強は不要ですが、柔らかくユニークな思考が必要です。 
 
テキスト・参考書 【教科書A】第1回〜第9回で使用します。新学期に生協の教科書コーナーで取り扱い予定です。
野間晴雄・香川貴志・土平 博・山田周二・河角龍典・小原丈明共著(2017)『第2版 ジオ・パルNEO』海青社。本体2500円。《注意》ダークグリーン表紙の初版は使えませんのでご注意ください。
【教科書B】第10回以降で使用します。こちらも生協書籍部で取り扱い予定です。
香川貴志(2010)『バンクーバーはなぜ世界一住みやすい都市なのか』ナカニシヤ出版。本体1800円。
★教科書Aは2012年発行の初版から大きく内容が変わっていますので、購入の際は紫色の表紙の第2版を購入してください。
教科書Bは古本で十分です。ただし、現行版では地図が現状に近いようにアップデートされています。
【参考書】上杉和央・香川雄一・近藤章夫共編著(2021)『みわたす・つなげる 人文地理学』古今書院。本体400円。
★高等学校時代に「地位A]も「地理B]も履修していない方々にお勧めです。 
自学自習についての情報 ◆1回目の講義の際に指示しますが、原則的に「次(翌回)に学ぶ章」の予習をお願いし、それをA4用紙片面にまとめたもの(必ず手書きのこと⇒コピペを防ぐための対策です)を、翌回の授業の最初に回収します。この毎回の宿題(初回講義までにしていただく宿題はありません)は平常点評価の対象となります。
◆毎回の講義の最後には当該講義にかかわる課題のミニレポートを講義時間内に提出していただきます。これも宿題と同様に平常点評価の対象となります。
◆上記の2点は、ともに受け身では出来ない主体性が問われる作業です。このような自学・自習作業を経れば確実に力がつきます。 
授業の形式 「予習としての宿題」+「講義」+「講義内容に関わるレポート作成(復習)」を基軸として自学自習と集中を促します。 
アクティブラーニングに関する情報 上欄の「授業の形式」に記したように、「予習+受講+授業内提出レポート」からなる授業自体がアクティブラーニングです。限られた分量で要旨をまとめる作業は、慣れないうちは相当に辛いと思います。しかし、それをくぐり抜けると卒論作成で論文を読んでも、就職してから学級新聞や学年便りを作成しても、それを効率的に進められる自身の姿に驚くことでしょう。 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) (1)第1回到達度確認テスト(20%)、講義中に出す課題・宿題(60%)、第2回到達度確認テスト(20%)
(2)第1到達度確認テストは第1回〜第9回の範囲(教科書Aの第11章までのうち第9章のみを除く)とします。教科書Aの持ち込みができます。
(3)第2回到達度確認テストは第10回〜第15回(教科書B)の内容です。教科書の参照(持ち込み)ができる形式のため、細部までの暗記等の準備勉強は不要です。
(4)受講生が規準人数に達した場合は、文部科学省や大学評価機構から強く要請されているGPA評価の観点に立って、上記の(1)で算出した得点を相対評価して評点を導出します。この相対評価は、「秀」および「優」の人数、「良」の人数、「可」の人数が、いずれも全体の20〜40%に収まるようにするというものです。 
その他(授業アンケートへのコメント含む) ◆本授業科目は、「教員採用試験ではコレが出る!」という構成ではありません。一方、授業評価アンケートでは「教員採用試験の対策授業をしてほしい」との要望もあります。対策授業はどうしても「詰め込み」になるので担当者は望ましくないスタイルだと考えています。しかし、全く試験対策無しで進めるわけにもいかないので、時おり授業内レポートで過去問を解いていただいて、その翌回に解説をするということも取り入れていきたいと考えています。
 
担当講師についての情報(実務経験) 高等学校や予備校での非常勤講師の経験があります。大学入試センターでのセンター試験(現・大学入学共通テスト)の作問委員の経験があります。本学には1991年3月に着任し、1995年9月から1996年8月までカナダ国ブリティッシュコロンビア州のバンクーバー市にあるブリティッシュコロンビア大学で客員研究員(文部省在外研究員)を務めていました。また、2018年4月から2022年3月まで本学教授との併任で附属桃山小学校において校長を務めていました。教育実習の指導には盤石の自信があります。研究業績については、CiNiiやNDL-OPACを参照してください。