科目情報
科目名 「問い」から考える教育学 
クラス − 
授業の概要 おそらく、児童・生徒からの問いかけにはっとするような場面に、何度か出会う経験があると思います。しかし応えることは重要だとは思いながらも、素朴な問いかけほど応えることは難しいので、ついその対応をわれわれは後回しにしてしまうことも多いでしょう。本授業では、そのような問いかけにこそ教育の本質が宿っているのではないかと考え、心理学ではなく教育哲学あるいは道徳教育の視点から、これを分析していきます。授業の進め方として、まず「問い」がもつ教育学的意義について講義をおこない、次に各受講生の問題設定をおこなったうえで、グループ内での対話によって具体的に検討する予定です。 
授業の到達目標 教育哲学や道徳教育の視点から、学校教育における児童・生徒の「問い」についてじっくりと考えることができる。
生徒・児童からの「問い」を契機にしながら、教育学の原理や思考様式を学ぶことができる。 
授業計画
内容
1オリエンテーション:グループ討議1
まずは全体としての授業の進め方を説明し、お互いの教育観を知るためにグループ討議をします。 
2教育の前提について
理論から教育学(とくに教育哲学)を学ぶ意味や教育学における理論と実践の関係を探ります。 
3「問い」を問う
教育学の出発点について説明し、「問い」を問うことの意義について考えます。 
4「問い」の形式的構造
教育事象を質的に理解することの必要性を知り、その上で「問い」の形式的構造について考えます。 
5グループ討議2
子どもの素朴な「問い」を実際に考えてみて、そこからプラグマティズムの解法について学びます。 
6「問い」の意味分析1 「迷い」としての「問い」
「問い」の意味を分析しますが、その中でも「未熟」「迷い」としての「問い」に着目し、そこから教育学の理念を学びます。 
7「問い」の意味分析2 「驚き」としての「問い」
「問い」の意味を分析しますが、その中でも「驚き」に着目し、現代の教育や教師にとっての「驚き」の意義を再認識します。 
8グループ討議3
大学の入試問題を題材としながら、「問い」の意味分析1と2で学んだことについてグループ討議します。 
9「問い」の意味分析3 「批判」としての「問い」
「問い」の意味を分析しますが、その中でも「批判」に着目し、教育学的思考を発達段階と連関させて学びます。 
10種々の「問い」
具体的な「問い」を数多く考え、それらを類型化することで問いの意味分析をまとめます。 
11グループ討議4
子どもの「問い」に関連した教員採用試験の問題を題材としたグループ討議を行うことで、教育観を深めます。 
12「問う力」を培う教育1 「問う力」による道徳性と社会性の形成
「問う」力を培うことが道徳性と社会性の形成につながることを学びます。 
13「問う力」を培う教育2 「問う力」による自己形成
「問う」力を培うことが自己形成につながることを学び、さらに生涯学習や人間の尊厳へと発展することを学びます。 
14学びのニヒリズムと「問い」
現代の学びへの虚無感を脱するためにどうすればよいか一緒に考えていきます。 
15まとめ
一連の議論に関わる教育学説と文献の紹介と質疑応答をします。 
 
テキスト・参考書 参考書:相澤伸幸『教育学の基礎と展開』(ナカニシヤ出版、2015年)
     笹田博通編著『教育的思考の歩み』(ナカニシヤ出版、2015年)
その他の書籍については講義の中で紹介する予定です。 
自学自習についての情報 毎回、講義の中で教育学に関連する文献を紹介します。それらをしっかりと読み込み、積極的に自学してください。 
授業の形式 講義および討論 
アクティブラーニングに関する情報 討議では、現職教員の方がグループリーダーとなって進めていきます。できるだけ遅刻せずに参加してください。 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 評価は授業での積極的参加の様子(50%)、そしてレポート(50%)によって判断します。 
その他(授業アンケートへのコメント含む) 毎回、講義の最後に質問時間を設けますので、積極的に活用してください。 
担当講師についての情報(実務経験) これまでの教職経験や活動を活かし、理論と実践を架橋を意識した授業を行います