科目情報
科目名 幼児の造形基礎 
クラス − 
授業の概要 本授業は、保育内容「表現」領域の、主に造形的表現に関わることを踏まえた講義である。こどもの造形表現活動は、こどもの日常の「遊び」の中から自然に展開される活動である。これを保障し援助しうる「環境」を構築していくことに必要な視点や考え方、素材、画材・道具の特徴を、経験的に学んでいく。特に、「出あい→見立て→想像・創造→伝える」とういう、こどもの表現プロセスの経験的理解につとめる。
そういう意味でも、本授業は、所謂、絵を上手に描く、ものを上手く作るための技能修得を目的とするものではなく、いわんや、こどもにその様なことを強いる術を学ぶものでは毛頭ない。
 
授業の到達目標 こどもの表現活動の特徴を理解し、その環境を整え、活動を援助することを目的として以下のことをその目標とする。
・ こどもに関わる保育者として大切なことを、鑑賞と表現の活動を通して、学び・考え・理解を深める。
・ 画材の特性の理解とその様々な可能性を理解する。
・ 様々な素材の特徴や関わり方、又それらに使う道具類の特性を理解する。
・ 所謂「上手・下手」、「出来る・出来ない」という物差しから解放された眼差しの修得を目指していく。 
授業計画
内容
1【オリエンテーション】
【技法遊びの展開】@
生活空間から様々な凹凸のあるものを見つけ、<フロッタージュ>技法によって、出あういろいろな形から、何かを見立て、触発されたイメージをより形づけるために手を加える。 
2【技法遊びの展開】A
出来てきた形を切り取り、それらを<コラージュ>技法によって一枚の平面画にしていく。 
3【技法遊びの展開】B
完成した平面がから新たに触発されたイメージを通して自ら話を創作する。 
4【素材研究】〜プロローグ並びに廃材を利用した製作〜@
身の回りにある様々な素材を手にして、重ねたり・くっつけたり、ひねったり等、しながらイメージを膨らませ様々な形へと展開していく。 
5【素材研究】〜廃材利用した製作〜A
前回の活動を継続して行い、素材と接着剤や切断器具(材料・道具)との相性を体験的に学びながら、よりイメージしたものへと展開していく。】 
6【素材研究】〜廃材利用した製作〜B
これまでの活動を継続して、一つ一つの形や質感を意識しながら完成させる。
その上で、実際使用した素材をその特徴ごとに分類し、それらの特性やそれらに関わる道具等、保育環境の上で配慮すべきことを考察し、レポートにまとめる。 
7【画材研究】T
クレヨン、パス、コンテの性質を学び、それらの特質を活かしたワークショップを行う。 
8【画材研究】U
絵の具のの性質を学び、それらの特質を活かしたワークショップを行う。 
9【個人活動】〜読書感想画の制作『いのちの食べ方』〜@<絵の具経験>
イメージする色を基調とする彩色をする。それとは別紙に感想画を描画する。 
10【個人活動】〜読書感想画の制作『いのちの食べ方』A<素材・道具経験>
彩色紙に別紙の画をプリントとし、その画面に廃材素材をコラージュし感想画作品を制作と、その製作コンセプトの記述。 
11【協働活動】@<絵の具経験>
個々の読書感想画の作品を鑑賞しあい、お互いのイメージを共有しながら、こども達に向けに4コマストーリーでその思いを伝える内容等を話し合う。
4画面(四つ切り画用紙)に基調色を様々道具・技法を使って彩色する。 
12【協働活動】A<素材・道具経験>
前回作った4枚の画面に形を描き、その後は様々な廃材素材を用い、<コラージュ>技法を使って4コマ画面を製作する。 
13【協働活動B】<素材・道具経験>
前回の続きで、作品製作を進め完成させる。発表方法を検討していく。 
14【展覧会鑑賞】
事前に指定された展覧会に赴き鑑賞課題に取り組み、その発表ワークショップを行う。 
15【協働活動】C
作品を発表&鑑賞 
 
テキスト・参考書 テキスト 
・季刊誌『美育文化ポケット』(公益財団法人美育文化協会刊)
読書感想画指定図書
・『いのちの食べ方』(森達也著、イースト・プレス刊) 
自学自習についての情報 「授業の形式」でも記載しているが、授業外(教室外)での取り組みも求める。 
授業の形式 実技を中心とした授業となるが、保育の学びとして意味するところを常に意識するよう心がける。
話あいを伴う協働の活動もある。
又、授業時間外(教室外)で、読書感想画対象図書『いのいちの食べ方』の講読。テキスト『美育文化ポケット』の購読並びに学外展覧会鑑賞などもある。 
アクティブラーニングに関する情報 互いが取り組んだ課題(作品等)の鑑賞や意見交換。
グループで協働の課題(作品等)に取り組み、その発表も行う。 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) @レポート(50%)テキスト講読、展覧会鑑賞。
A実技課題(50%)(課題振り返りレポート、協働製作では出席状況を含)。
※@Aの全ての課題をクリアーした者のみ評価する。
未提出や課題に対して不備・不誠実であるものは評価をしない。 
その他(授業アンケートへのコメント含む) 授業の中の画材研究で、クレヨンを無償提供する。
参加型の授業で、一回一回の経験に重きなす。そういう意味で出席は最低条件である。
又、やもなく欠席の場合は、必ずその日の内容を他の学生から聞き、次の授業までに遅れを取り戻しておくこと。
ただ漫然と参加するのではなく、周りの仲間からも、沢山吸収することに努めてみること。 
担当講師についての情報(実務経験) 神戸女子大学文学部教育学科(1993〜2011年講師・准教授)
龍谷大学 短期大学部こども教育学科(2011年〜教授)
(公財)美育文化協会評議員
全国幼年美術の会常任委員、京都幼年美術の会会長
日展(第1科:日本画)会友