科目名 |
近・現代文学特講 |
クラス |
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授業の概要 |
【目的】 @「文芸映画」とその原作を分析し、文学/(文芸)映画という二つのテクスト、メディアの特質について考察します。 A国語科教科書教材にも見られる「アダプテーション(翻案)」について、メディアを横断した具体例を分析しながら、理論とケーススタディの両方を学習します。 【方法】 〈語る形態〉から〈見せる形態〉への変形のありようを、テクスト同士の比較によって明らかにします。とくに、小説が持つ「語り」の機能、映画が持つ視覚的・聴覚的表現の効果に着眼し、相互に変換不可能な表現方法や要素を抽出することで、双方のメディアの特質を考えます。また、発展的な考察として、読む者/見る(観る)者の認識や没入のありかたの違い(受容の問題)や、映像テクスト(「第二次テクスト」「第三次テクスト」…)から「原作」を遡及的に再解釈する実践も行います。 |
授業の到達目標 |
1、基本的な文芸批評理論を理解し、活用できる。 2、文学研究・映画研究に必要な専門知識や方法論を理解し、活用できる。 3、文学と映画の表現方法の違いについて、専門用語を交えて説明できる。 4、アダプテーションという概念を用いて、翻案作品の特徴を説明できる。 |
授業計画 |
回 |
内容 |
1 | ガイダンス 「文芸映画」と「アダプテーション」 |
2 | 川端康成「伊豆の踊子」 |
3 | 西河克己監督「伊豆の踊子」(1963年) |
4 | 「伊豆の踊子」分析 |
5 | 谷崎潤一郎「春琴抄」 |
6 | 西河克己監督「春琴抄」(1976年) |
7 | 「春琴抄」分析 |
8 | 考察1 文字言語表現/視覚的表現/聴覚的表現の違いと特徴 |
9 | 竹山道雄「ビルマの竪琴」 |
10 | 市川崑監督「ビルマの竪琴」(1956年)、市川崑監督「ビルマの竪琴」(1985年) |
11 | 考察2 「文芸映画」と戦後日本 |
12 | 森永健次郎監督「潮騒」(1964年)、西河克己監督「潮騒」(1975年) |
13 | 三島由紀夫「潮騒」 |
14 | 考察3 「原作」の遡及的再解釈 俳優の身体性とキャラクター性 |
15 | 統括 |
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テキスト・参考書 |
〔テキスト〕谷崎潤一郎『春琴抄』(新潮文庫)、三島由紀夫『潮騒』(新潮文庫)、竹山道雄『ビルマの竪琴』(新潮文庫) 〔参考書〕リンダ・ハッチオン『アダプテーションの理論』(片渕悦久ほか訳、晃洋書房)、中村三春『〈原作〉の記号学 日本文芸の映画的次元』(七月社)など。講義で適宜指示します。 |
自学自習についての情報 |
読むべき先行研究については授業中に指示します。各自読んで疑問点を整理しておくことを求めます。→Googleclassroomを用いて自学自習を行い、授業内活動に活用します。 |
授業の形式 |
講義形式+グループワーク(基本的に考察や分析はグループで行います。) |
アクティブラーニングに関する情報 |
グループワーク、ディスカッションなど。 |
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) |
授業内活動・授業前課題(40%) 学期末レポート(60%) |
その他(授業アンケートへのコメント含む) |
原作には長編も含まれますが、各自、文庫本等で通読することを求めます。2回生以上の受講が望ましいです。 |
担当講師についての情報(実務経験) |
附属幼稚園園長を兼務しています。 |