科目情報
科目名 障害児臨床基礎 
クラス − 
授業の概要 本講義では、知的障害や発達障害をはじめとした生得的な障碍や、その他、被虐待児や愛着の問題などの様々な心理的な症状など、子どもや家族を巡る心理・教育・福祉現場における課題やその支援方法について、主に関係発達な観点からアセスメントと支援の仕方を学ぶことを予定している。また実際の事例や受講生同士のロープレイの分析などを通じて、困難さを抱える親子の非言語的コミュニケーションに着目し、どのようにして見立て,支援の方針を構築するのかということを学ぶ。
 
授業の到達目標 1. 心理・教育・福祉現場において生じる問題及びその背景について説明できる。
2. 子どもの臨床事例に対する見立てと方針を構築する姿勢を持つことができる。
3.コミュニケーション時におけるメンタライゼーションの各モードの特徴を説明できる。
4.臨床事例やロールプレイのビデオ分析を行い,心理に関する支援を要する者の特性や状況に応じた適切な支援方法の選択・調整について,見立てと方針に反映することができる。
 
授業計画
内容
1オリエンテーション
〜発達と子育てを支援すること〜 
2関係発達と関係障碍の再考
〜発達学と精神病理学の諸原理より〜 
3養育者のかかわりの影響について調査研究から学ぶ
〜マインド・マインデッドネスと知的発達〜 
4「マインド・マインデッドネス」や「心の理論」研究と精神分析との交差点
〜メンタライゼーション入門〜 
5メンタライゼーションの水準を学ぶ
〜3つのモードとは〜 
6メンタライゼーションの途絶や歪み
〜臨床事例から学ぶ〜 
7メンタライゼーションの回復と発達
〜臨床事例から学ぶ〜 
8自閉症児の「愛着」と「心の理論」の困難さの脱構築
〜知的障害とメンタライジングの観点から〜 
9“ほどよい”子育てについて考えよう 
10親子の関係性そのものの理解と援助の技法を学ぶ
〜セラプレイとは〜 
11非言語的・情動的コミュニケーションを学ぶ@ 〜臨床事例Aの検討〜 
12非言語的・情動的コミュニケーションを学ぶA 〜ペア1の検討〜 
13非言語的・情動的コミュニケーションを学ぶB 〜ペア2の検討〜 
14非言語的・情動的コミュニケーションを学ぶC 〜ペア3の検討〜 
15非言語的・情動的コミュニケーションを学ぶD 〜臨床事例Bの検討〜 
 
テキスト・参考書 N. ミッジリーら(2021)メンタライジングによる子どもと親への支援: 時間制限式MBT-Cのガイド.北大路書房.
C・E・シェーファー(2011)プレイセラピー14の基本アプローチ―おさえておくべき理論から臨床の実践まで.創元社 
自学自習についての情報 授業前準備学習:各授業で扱う授業のキーワードに関して,参考書や授業内で配布される補足資料などに目を通すとともに,子どもや家族に関するテレビや小説,映画などを子育てを巡る“心の動き”という観点から観ること。(作品紹介を各回の感想シートにて求める)
授業後学習:授業で取り上げた内容の要点と重要箇所の確認・整理。  
授業の形式 講義及び演習形式で行う。
具体的には、講義計画における各回の学修内容やキーワードを踏まえたPowerPoint資料を中心に対面授業(必要に応じてハイブリッド型・オンデマンド型併用)を展開する。必要に応じて映像資料や絵本や写真など視聴覚的な資料を用いる。
また一部,実際の親子関係を測定するアセスメント法を受講生同士でロールプレイ的に実施し,分析,全体での検討をするなど演習パートを部分的に設ける予定である。
 
アクティブラーニングに関する情報 個人・ペア・グループ形式でのワークやディスカッション,ロールプレイを随時展開し体験的学習や意見交流を行う。 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 授業への参加・貢献度(50%)
※授業への参加・貢献度は授業時間内に行う感想・質問シートの記入や検査結果の所見などを元に算定する。
 感想・質問シートに関しては毎回の授業にて紹介・解説を行う。
期末レポート(50%):
※期末に1回実施し、課題に即した事項を整理し考察した内容を評価とする。
 
その他(授業アンケートへのコメント含む) 授業中に浮かんだ疑問・質問・連想は大事な学びの種であるため,遠慮せず声をかけてください。一緒に掘り下げましょう。  
担当講師についての情報(実務経験) 担当講師は、公認心理師・臨床心理士として(障碍のある)子どもの心理・発達相談や,その養育者への子育て相談、関係する支援者(保育・教育・福祉領域)へのコンサルテーションやスーパービジョンを行ってきた経験がある。