科目情報
科目名 中等美術科教育I 
クラス − 
授業の概要  中学校および高等学校の美術科が育成を目指すコンピテンシー(資質・能力)について理解し、さらにそれが学校教育の外側にも広がる美術/アートの様々な活動とどのように関連しているのか考察を深めていきます。授業ではグループワーク・ディスカッション等を交えて、学習指導要領に示される教科の目標や内容の全体構造を掴み、これを教育実践にどのように反映させていくのかを研究することになります。
美術科の授業実践における情報通信技術の活用に関する研究を含みます。 
授業の到達目標 ・生涯教育・支援教育も含めた人間にとっての美術という視点から、中等教育美術科の役割と目標を理解し、さらに今後も考察を続ける資質を身に付ける。
・美術科学習指導要領に示される目標・内容の全体構造とその意味を理解する。
・学習指導要領の読解、教科書研究、教材研究におけるグループ活動の体験を通じて、学習指導案作成を主体的に行うことのできる力を身に付ける。
・模擬授業形式のプレゼンテーションを通じて、教科の特色や情報通信技術の活用を踏まえた授業展開・指導方法を理解する。 
授業計画
内容
1導入:なぜ学校教育に美術科が存在するのか、教科の意味とその目的について考える 
2美術教育史概説1:私たちの社会において美術教育はどのように始まったのか(明治の臨画教育、大正の自由画教育運動と山本鼎) 
3美術教育史概説2:私たちの社会の構造変化と美術教育の変遷の関わりを考える(戦時下の美術教育と戦争画、バウハウスの基礎造形教育、海外の美術教育理論) 
4美術教育史概説3:今日につながる美術教育の思想を探る(戦後の民間美術教育理論、現代アートの展開と教育) 
5学習指導要領読解1:美術科学習指導要領の歴史的背景(映画『絵を描く子どもたち』、学習指導要領の誕生) 
6学習指導要領読解2:美術科学習指導要領の構造(美術科学習指導要領の構造的理解、幼児の造形や図画工作科から美術科への展開について) 
7教科書研究A:絵画・彫刻・工芸(グループワークで教科書に示された題材を分析する) 
8題材研究A:絵画・彫刻・工芸(グループワークで題材開発を試みる) 
9教材研究A:絵画・彫刻・工芸(グループワークで学習指導案の完成と教材の研究を行う) 
10模擬授業A:絵画・彫刻・工芸(グループ別に開発した授業題材を模擬授業形式で発表) 
11教科書研究B:デザイン・映像メディア表現・鑑賞(グループワークで教科書に示された題材を分析する) 
12題材研究B:デザイン・映像メディア表現・鑑賞(グループワークで題材開発を試みる) 
13教材研究B:デザイン・映像メディア表現・鑑賞(グループワークで学習指導案の完成と教材の研究を行う) 
14模擬授業B:絵画・彫刻・工芸(グループ別に開発した授業題材を模擬授業形式で発表) 
15まとめ:発想とは、構想とは、技能とは、知識とは、そして主題を生み出す主体性とは 
 
テキスト・参考書 文部科学省『中学校学習指導要領解説 美術編』『高等学校学習指導要領解説 芸術編・音楽編・美術編』(最新版)
福田隆眞・福本謹一『美術科教育の基礎知識』建帛社(最新版) 
自学自習についての情報 指定したテキストに目を通し、必要箇所をしっかりと予習しておくこと。
初回授業で示された学習指導案の書式を念頭におき、その後の授業体験を通じて各自が自身のテーマを育て、題材開発と授業デザインを行って指導案を完成させていくこと。 
授業の形式 講義、演習 
アクティブラーニングに関する情報 教科書研究、題材研究、教材研究を通じて、グループワークとジグソー法を活用します。このことにより、個々の学びの成果を全員で共有し、さらなる探求へと向かう素地を自身の内に育みます。
各自が主体的に学習指導案を作成した上で、これを模擬授業形式で発表します。 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 毎回の授業で提出するコメントシート(30%)
グループで作成・提出する学習指導案の蓋然性と完成度(20%)
グループワークへの参加の積極性(10%)
模擬授業形式のプレゼンテーションにおける伝達力(10%)
授業内のまとめレポート(30%) 
その他(授業アンケートへのコメント含む) 常に主体的に考え行動する姿勢を求めます。
実践的な指導力は、人間にとって美術という営みは何かという深い考察の裏付けがなければ意味がありません。そのことを忘れずに学んでください。
授業アンケートはもちろんですが、毎回の授業での疑問点や気づきを積極的に表明してください。常に開かれた気持ちで授業を改善していくことを心がけたいと思います。 
担当講師についての情報(実務経験) 中学校、高等学校での美術科講師経験ののち、専門学校でのデザイン・美術の基礎課程の担当を経て、大学での教職課程で美術教育の研究を進めてきました。特に、高度情報化社会において要請される美術の基礎課程とは何かを研究テーマとしています。