科目情報
科目名 スポーツ情報論 
クラス − 
授業の概要 ・体育・スポーツ科学における情報(データ)に対する基本的な考え方及び基礎理論を学習し、データの測定方法及び分析やその評価方法についての基本的な内容を学習する。
・現在普及している体力テストの特徴や評価指標、体力向上への活用方法について学習するとともに、それら体力テストを実際に行うことで、実施計画の立案や実施方法、結果の分析・評価方法について学ぶ。 
授業の到達目標 1.体育・スポーツ科学における測定及び評価の意義を説明することができる。
2.体育・スポーツ科学における測定やデータ処理の基礎的な理論を説明することができる。
3.実際に大学の授業等で体格及び体力測定実習を行い、集団を対象とした測定方法、データ処理や評価方法、活用方法について基本的な知識や技能を理解・習得する。
4.表計算ソフトのエクセルを用いて模擬的な資料に対するデータ分析を行い、資料の特徴を把握し、図表にして示したりすることができる。 
授業計画
内容
1オリエンテーション
・体育・スポーツにおける情報(データ)の役割、位置づけについて考える
・データが活用されるまでの流れ
・体育・スポーツの諸分野(体育・スポーツ科学諸分野、トレーニング、試合)における利用例の紹介 
2体育・スポーツの実践現場におけるデータ活用(体力テスト)

体力テストの目的と測定結果を活用するための知識
・運動にかかわる身体の構造と機能・身体機能や体力の階層構造的な把握
・フィールドテストとラボテスト
・体力向上におけるデータの役割と活用例 
3体力テストを実施するための準備
・測定計画の立案
・測定値のクオリティの担保とリスク対策
・データの管理と倫理的配慮 
4データ収集:体のかたちを測る
・身長、体重、体組成、形態の測定評価内容、基礎理論、方法や指標を学習する
・測定演習T:身長、体重、体組成、形態などの測定
・ラボテストの紹介 
5データ収集:持久力を測定する
・持久力に関する体力テスト測定評価内容、基礎理論、方法や指標を学習する
・測定演習U:20mシャトルラン(またはyo-yoテスト、多段階ペース走)などの測定
・ラボテストの紹介 
6データ収集:コンディションを測定する
・コンディショニングに用いられる測定評価内容、基礎理論、方法や指標を学習する
・測定演習V:体温、起床時心拍、睡眠時間、トレーニング負荷(セッションRPE)などを2週間にわたって測定する。
・ラボテストの紹介 
7データ収集:筋力・パワーを測定する
・筋力・パワー発揮能力に関する測定評価内容、基礎理論、方法や指標を学習する
・測定演習W:スクワット、メディシンボール投げ、垂直跳、リバウンドジャンプ
・ラボテストの紹介 
8データ収集:スピード・アジリティを測定する
・スピード・アジリティに関する測定評価内容、基礎理論、方法や指標を学習する
・測定演習X:30m走、反復横跳、Tテスト(またはプロアジリティ)
・ラボテストの紹介 
9データの整理:表計算ソフト(エクセル)を利用したスポーツ情報処理の演習(体力テスト資料を用いたデータ処理及び評価・活用の実際)
・エクセルの基本的な操作方法を理解する
・測定演習T〜Wで取得したデータ記入する
・体力テストにおけるフィードバック例の紹介 
10データの整理・統計分析:表計算ソフト(エクセル)を利用したスポーツ情報処理の演習(体力テスト資料を用いたデータ処理及び評価・活用の実際)
・統計の必要性
・データの分類
・1種類のデータ集団における特徴(分布の代表値):平均値、中央値、最頻値
・分布の代表値を視覚的にとらえる:棒グラフ、箱ひげ図
・測定演習から平均値、中央値、最頻値を算出し、図に表す 
11データの整理・統計分析:表計算ソフト(エクセル)を利用したスポーツ情報処理の演習(体力テスト資料を用いたデータ処理及び評価・活用の実際)
・1種類のデータ集団における特徴(分布の散布度):標準偏差,四分位偏差,尖度,歪度
・分布の代表値を視覚的にとらえる:度数分布,ヒストグラム
・測定演習から標準偏差,尖度,歪度を算出するとともに、度数分布,ヒストグラムに表す 
12データの整理・統計分析:表計算ソフト(エクセル)を利用したスポーツ情報処理の演習(体力テスト資料を用いたデータ処理及び評価・活用の実際)
・個々の測定結果を把握する:過去の測定値,基準値,偏差値,標準得点
・測定演習の結果を偏差値と標準得点化を算出し、評価する 
13データの整理・統計分析:表計算ソフト(エクセル)を利用したスポーツ情報処理の演習(体力テスト資料を用いたデータ処理及び評価・活用の実際)
・2種類のデータ集団間の関係性:相関関係、回帰分析、パス図
・分布・ジャンプ測定結果の関係を相関分析を用いて検討する
・回帰分析を用いてスクワットの最大挙上重量(または,多段ペース走から最大心拍数など)を算出するの代表値を視覚的にとらえる:散布図,回帰直線 
14データの整理・統計分析:表計算ソフト(エクセル)を利用したスポーツ情報処理の演習(体力テスト資料を用いたデータ処理及び評価・活用の実際)
・2種類のデータ集団間の関係性:質的データの分析:クロス集計
・2種類のデータ集団または、縦断的なデータの特徴:T検定、分散分析
・コンディションの縦断的な測定結果の特徴を評価する 
15・エクセルからSPSSへ
・効果量
・統計的検定の問題点・適用上の留意点 
 
テキスト・参考書 テキスト:テキストは使用しない。必要に応じて資料を配布する。
参考図書:
「フィットネスチェックハンドブック―体力測定に基づいたアスリートへの科学的支援―」 松林武生編 大修館書店
「公認スポーツ指導者養成テキスト 共通科目T」財団法人日本体育協会
「スポーツ選手と指導者のための体力・運動能力測定法 トレーニング科学活用のテクニック」 鹿屋体育大学 スポーツトレーニング教育センター編 大修館書店
「健康・スポーツ科学のためのSPSSによる統計解析入門」
「本当にわかりやすいすごく大切なことが書いてあるごく初歩の統計の本シリーズ」吉田寿夫 北大路書店
「心理統計学の基礎」 南風原朝和 有斐各アルマ 
自学自習についての情報 授業の振り返り(学習ポートフォリオの作成)と合わせ、出題された課題についてまとめること。
新体力テストについては、文部科学省 新体力テスト実施要項をダウンロードし、読み込んでおくこと。
中間テスト及び期末テストを実施するので、テストに向けて復習しておくこと。 
授業の形式 プロジェクターやプリント等の資料を利用し、講義形式で授業を行うと共に、実際に文部科学省の新体力テストやハイパフォーマンスセンター等で実施されているコントロールテスト、フィットネスチェックを行い、それらの資料を用いて表計算ソフトを利用した集計・評価方法について演習を行う。 
アクティブラーニングに関する情報 授業の中に測定する立場になって実際に体力測定を行う。
模擬的な資料をエクセルを用いてデータ分析し、資料の特徴を把握する演習を行う。 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 講義の参加態度、テスト、演習課題を総合的に評価する。
評価基準は以下の通りである。
(1) 講義の参加態度(出席、将来教員となる者としての毎回の授業に対する意欲や主体的授業参加態度):20%
(2) 授業内に行うレポートおよび演習課題(測定した資料を用いた体力評価):80%
なお、開講授業時数の1/3以上を欠席した場合は単位を取ることはできない。 
その他(授業アンケートへのコメント含む) 基本的なWindowsの操作、ワード、エクセル、メールの操作が必要となるので各自が学習しておくこと。
授業の途中で実習等で参加できない場合は、参加できなかった授業の内容を各自で学習しておくこと。
特にエクセルを用いた演習においては、授業時間内の学習だけでなく、十分に復習をすること。 
担当講師についての情報(実務経験) 2018−2019 筑波大学陸上競技部跳躍ブロックコーチアシスタント
2022− 滋賀大学陸上競技部監督
下肢の筋力・パワー発揮能力のアセスメントに関する研究を行っている。

以上の経験を活かしながら授業を行う。