科目情報
科目名 子どもの臨床心理学的アセスメントと支援 
クラス − 
授業の概要 子どもの臨床心理学的なアセスメントと支援について、精神分析的な視点を中心に、子どもの情緒的発達、親子関係や教師との関係、学校現場の集団力動、子どもの行動のもつ意味とその背景についての理解を深めるとともに、支援の方法について学校園における実践事例の検討を通してその実際を学ぶ。
第1回〜第8回は、文献購読を通して、学校現場における子ども理解や関係性について考える。なお本内容は、共通科目「生徒指導・教育相談実践演習」で行う観察やワーク・ディスカッション(事例検討)の理論的背景に相当する。
第9回〜第11回は、心理学的な支援に必要な子どもの精神疾患についての基本的知識を学び、ディスカッションを通して、疾患を抱える子どもの学習を支える上で必要な配慮について学ぶ。
第12回〜第15回は、臨床心理学的なアセスメントと支援の方法について、心理検査の体験や心理療法の事例を通して考え、さらには受講者による実践事例の発表とディスカッションを通して支援の実際を学ぶ。 
授業の到達目標 ・臨床心理学的な視点を身に付けて、子ども理解に生かすことができる。
・アセスメントの基礎となる臨床心理学の理論と方法について理解することができる。
・アセスメントに基づいた支援について、主体的に考えて実践することができる。 
授業計画
内容
1オリエンテーション:授業の概要と到達目標についての説明、臨床心理学的アセスメント総論(担当:西村佐彩子) 
2子どもの臨床心理学的理解のための理論1:精神分析総論(担当:西村佐彩子)
テキスト(第1章:赤ちゃんはどこからくるの?・第2章:精神分析の概念とその応用入門)を受講者が発表し、全体でのディスカッションを行う。 
3子どもの臨床心理学的理解のための理論2:乳幼児期・児童期の情緒的発達(担当:西村佐彩子)
テキスト(第3章:遊び、遊び感覚、学ぶこと・第4章:潜伏期)を受講者が発表し、全体でのディスカッションを行う。 
4子どもの臨床心理学的理解のための理論3:青年期の情緒的発達(担当:西村佐彩子)
テキスト(第5章:青年期・第6章:はじまり、おわり、移行)を受講者が発表し、全体でのディスカッションを行う。 
5子どもの臨床心理学的理解のための理論4:行動の観察と理解(担当:西村佐彩子)
テキスト(第7章:教室での洞察と観察の価値)を受講者が発表し、全体でのディスカッションを行う。 
6子どもの臨床心理学的理解のための理論5:教師との関係・集団力動(担当:西村佐彩子)
テキスト(第9章:学校の集団力動・第10章:投影のプロセス)を受講者が発表し、全体でのディスカッションを行う。 
7子どもの臨床心理学的理解のための理論6:親子関係・査定と評価(担当:西村佐彩子)
テキスト(第11章:家族と学校・第12章:査定、評価、視察)を受講者が発表し、全体でのディスカッションを行う。 
8学校カウンセリング総論(担当:西村佐彩子)
本授業で取り上げた子ども理解の理論と視点に基づいて、生徒指導提要を改めて読み解くことを試み、児童生徒理解やチーム支援について考える。 
9子どもの精神疾患総論 (担当:上床輝久)
スライド資料による講義をもとに、学校現場において精神疾患を抱えた子どもへの学校現場でのアプローチについてディスカッションを行う。 
10子どもの精神疾患各論1:発達障害 (担当:上床輝久)
スライド資料による講義をもとに、自閉スペクトラム症や注意欠如多動症、限局性学習症などの発達障害について、学校現場での基本的なかかわり方についてディスカッションを行う。 
11子どもの精神疾患各論2:気分障害、不安障害、心身症ほか(担当:上床輝久)
スライド資料による講義をもとに、それぞれの疾患が学校現場で現れたときにどのように気づき、支援していくかについて、ディスカッションを行う。 
12心理検査を用いたアセスメント(担当:西村佐彩子)
受講者が心理検査(質問紙法と投影法)を体験することを通して、心理検査を用いたアセスメントへの理解及び自己理解を深める。 
13子どもの心理療法と保護者面接(担当:西村佐彩子)
子どもの心理療法の事例を通して、子どもと家族の関係性への理解を深める。 
14ワーク・ディスカッション1:幼稚園・小学校等の事例検討(不登校・虐待・いじめ等)(担当:西村佐彩子)
受講者から発表者を募り、学校現場での関与しながらの観察をもとに作成した事例記録の発表と、全員でのディスカッションを通して、子どもの行動の背景や子どもと教師の情緒的交流の理解と探索を深める。 
15ワーク・ディスカッション2:中学校・高等学校等の事例検討(いじめ・精神医学的課題等)(担当:西村佐彩子)
受講者から発表者を募り、学校現場での関与しながらの観察をもとに作成した事例記録の発表と、全員でのディスカッションを通して、子どもの行動の背景や子どもと教師の情緒的交流の理解と探索を深める。 
 
テキスト・参考書 テキスト:『学校現場に生かす精神分析実践編:学ぶことの関係性』 B・ヨーエル 岩崎学術出版社
参考書:『ワーク・ディスカッション』 M・ラスティン・J・ブラッドリー 岩崎学術出版社
『学校現場に生かす精神分析:学ぶことと教えることの情緒的体験』 I・S・ウィッテンバーグ他 岩崎学術出版社
『テキストブック児童精神医学』 井上勝夫 日本評論社
『生徒指導提要』(平成22年3月 文部科学省) 
『生徒指導提要改訂版』(令和4年12月 文部科学省) ほか、授業中に適宜指示する。 
自学自習についての情報 第2回〜第7回授業は、全員がテキストの該当章を読み込み自分の意見や疑問点を明確にしてくること。
授業で紹介した文献を用いて事前学習を行うこと。テーマごとにレジュメ作成や振り返り課題を実施することがある。 
授業の形式 講義、演習 
アクティブラーニングに関する情報 各回の授業で取り上げたテーマについて、グループディスカッションやグループワークを行う。 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 授業への参加態度60%、レジュメ作成と発表20%、レポート課題の提出20% 
その他(授業アンケートへのコメント含む) 特記事項無し 
担当講師についての情報(実務経験) 臨床心理士として、精神科病院や公立中学校スクールカウンセラー等の実務経験あり(西村)
児童精神科医として、大学病院や発達障害支援センターでの実務経験あり(上床)