科目情報
科目名 社会学研究 
クラス − 
授業の概要 「調べ学習」・「地域に学ぶ」調査に役立つ社会学
「調査をする」という行為は、実証的な社会学を学ぶときに基本的かつ重要な営みです。また、調査能力自体は、さまざまな場面で強く求められるスキルの1つだといえます。授業では、フィールドワークの基本的な考え方を通して社会調査を理解したうえで、フィールドワークの方法とそれによって記述されたエスノグラフィーとの関係にも関心を向けながら、新聞や雑誌の記事、ルポルタージュ、人類学・社会学のモノグラフなどとフィールドワークとの関係について議論を深めます。 
授業の到達目標 授業の前半では、社会調査を認識行為としてとらえ、認識をめぐるさまざまな状況を検討し、それが必ずしも一義的でないことを考えます。後半では、「社会学的な問い」が生まれるそれぞれの場所で、調査対象に応じた調査方法の問題点についても議論します。固有名詞をともなった具体的な経験とともにある社会調査の意義や面白さを共有しながら、現代世界を複眼でみる力を養います。 
授業計画
内容
1イントロダクション
 わたしたちの日常にあふれる「調査」 社会を調査することの意味 社会調査の歴史 
2量的調査と質的調査−2つの調査の方法と得失−
 調査の方法とテーマ,社会学・民俗学・文化人類学のモノグラフ,シカゴ学派 1920年代のアメリカの光と影  
3私たちの認識と社会調査による社会事象の認識プロセス(1) 
 ステレオタイプ, 事実の語られ方, 客観性の二様相, アユの死骸が意味するもの,教室の状況を記述する,
 知ることと理解すること 
4私たちの認識と社会調査による社会事象の認識(2)
 同化と異化,ステレオタイプ,風に吹かれる紙切れと逃げ惑う男 
5事実の語られ方(1)
 映画「羅生門」のなかの語られる事実 
6事実の語られ方(2)
 羅生門的手法,複合的自伝の方法,質的調査によってわかろうとすること 
7社会調査がつくる「現実」(1)
 教室のピグマリオン,アナウンスメント効果,予言の自己成就,マーガレットミード「楽園の虚実」,
 デルク・フリーマンによる検証,生物学的決定論,文化決定論 
8社会調査がつくる「現実」(2)
 調査の風景,共同行為としてのフィールドワーク  
9文化を記述するということ(1)−今なぜエスノグラフィーなのか−
 方法論,エスノグラフィーの歴史,エスノグラフィーブーム 
10文化を記述するということ(2)−エスノグラフィーの地平−
 エスノグラフィーパッシング,ライティング・カルチャー(文化を書く),民族誌家の魔法 
11文化を記述するということ(3)−エスノグラフィーの可能性−
 フィールドワークの窮状,共感・関与,歴史化・政治化・日常化
共同行為としてのフィールドワーク(1) フィールドワークの4か条 
12共同行為としてのフィールドワーク(2) 環境調査と知の産出
 コンテクスト志向型,イシュー志向型,フィールドの人間観,科学主義批判,近代イデオロギー,生活実践 
13実践 自分で調べる技術(1) 第1章(調べるということ) 第2章(文献や資料を調べる) 
14実践 自分で調べる技術(2) 第3章(フィルードワークをする) 第4章(リスクを調べる) 
15実践 自分で調べる技術(3) 第5章(データ整理からアウトプットへ)
全体のまとめ−フィールドワークの10か条− 
 
テキスト・参考書 テキスト 宮内泰介・上田昌文著『実践 自分で調べる技術』岩波新書
参考文献 好井裕明・三浦耕吉郎編『社会学的フィールドワーク』世界思想社 
自学自習についての情報 授業中に配布する資料を読みながら自学自習を進めてください。 
授業の形式 講義 
アクティブラーニングに関する情報 適宜ディスカッション等を行いながら授業内容の理解を深めます。 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 中間レポート(35%) 期末レポート(35%) 授業による参加度(15%)
中間レポートは、授業中に配布する資料から任意に文献を選び、その作品の書評を作成します。字数や書評の書き方については、授業中に詳細を説明します。
期末レポートは、『実践 自分で調べる技術』の書評を作成します。字数については、授業中に詳細を説明します。 
その他(授業アンケートへのコメント含む) なし 
担当講師についての情報(実務経験)