科目情報
科目名 教職の専門性と倫理 
クラス − 
授業の概要 本授業の目的は「教師たちが協働して自らの手で倫理綱領を作成すること」である。

対人援助専門職の多くは、サービス提供者とサービス受益者との関係性を中心にして、職能団体が倫理綱領を制定しているだけでなく、専門職養成段階で専門職倫理を教えている。しかし、日本には、多くの教師が共有するような倫理綱領がない上に、文科省による教職課程コアカリキュラムにも倫理に関する項目は含まれていない。専門職は自らの専門性について考察を深め、その負の影響を制御するような倫理綱領を自らの手で定めることが、専門職としての社会的地位を確保する意味で重要であると考えられる。本授業では、教師の専門職倫理確立のための第一歩として、教師自身が仲間と協働しながら自らの専門性について考え、そこから倫理綱領を作成する。 
授業の到達目標 @自らの言葉で、教師の専門性について説明することができる。
A自らの言葉で、教師の倫理について説明することができる。
B教師が教師の専門性、倫理を自己規定することの意義を説明することができる。
C教師の専門性、倫理について教師同士で共通認識を持つことの意義を説明することができる。
D教育の具体的な場面の中で、教師の専門性、倫理について考察することができる。 
授業計画
内容
1オリエンテーション:専門性と倫理の関係について 
2他の専門職の倫理綱領を調べる 
3各国の教師の倫理綱領を調べる 
4教師の専門性について考える<個人>(準備):KJ法の学習 
5教師の専門性について考える<個人>(準備):KJ法の練習 
6教師の専門性について考える<個人>:KJ法の実践 
7教師の専門性の負の影響について考える<個人> 
8教師の倫理綱領を考える<個人> 
9倫理綱領が適用される仮想事例を考える<個人> 
10教師の専門性について考える<グループ>(準備):グループでのKJ法の練習 
11教師の専門性について考える<グループ>:グループでのKJ法の実践 
12教師の専門性の負の影響について考える<グループ> 
13教師の倫理綱領を考える<グループ> 
14倫理綱領が適用される仮想事例を考える<グループ> 
15まとめ:これまでの作業を振り返る 
 
テキスト・参考書 テキスト:なし
参考書:
 ・Strike & Soltis 「The ethics of teaching」(Teachers college press)
 ・ギャバード・レスター 「精神分析における境界侵犯?臨床家が守るべき一線」(金剛出版) 
自学自習についての情報 これまでの自らの学校での体験(教師としての体験、生徒・児童としての体験)を振り返るとともに、そこで感じていたことを言語化してください。
授業内、授業後に出される課題に主体的に取り組んでください。 
授業の形式 演習、講義 
アクティブラーニングに関する情報 グループディスカッション 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 授業での発言、参加態度(70%)、最終レポート(30%)

<授業での発言、参加態度の評価基準>
学部新卒学生:教師の専門性、倫理について、自らの考えを表現することができる
現職教員学生:教師の専門性、倫理について、内省的視点、多様な視点から捉え直すことができる 
その他(授業アンケートへのコメント含む) *本授業の目的は、受講生が協働して自らの手で教師の倫理綱領を作ることです。
担当教員は、心理専門職として専門職のあり方(専門性、倫理)に関する知識等を提供します。
教師のあり方(専門性、倫理)に関する知識等を提供することはありません。
あくまでも担当教員はサポート役です
(受講生のアウトプットが中心になるので、授業後の課題も多いです)。

*倫理綱領を作る際には、以下の2つの困難が伴うと考えられます。
@主体的に考え、その考えを自らの言葉で表現する(誰かに教えてもらうのではなく)
A教師同士で徹底的に議論し、一つのものを作り上げる(1人で黙々と作業するのではなく)
これらの困難は、現代の学校現場が抱える困難でもあると考えられます。
つまり、本授業そのものが、そういった困難を克服しようとする挑戦的試みであると考えられます。
特別な知識等は特にありませんが、モチベーションは必要です。

*学部新卒学生については、ある程度、実習体験を積み重ねたM2での受講を推奨します。

*受講者が3名以下の場合は、開講を見合わせる可能性があります。


以上のことを十分に理解した上で受講してください。 
担当講師についての情報(実務経験) 心理専門職として学校現場、医療現場、福祉現場等で勤務していた経験がある。また、心理専門職の養成を行っていた経験がある。