科目情報
科目名 子育て支援の実践 
クラス − 
授業の概要 地域社会の紐帯や家族の絆の衰退に伴い、育児をめぐる困難が広がる中で、社会的なサポー トの必要性が高まってきた。いま、子育て支援の取り組みは、保育・ 家庭教育、地域福祉、社会教育、子ども文化、まちづくりの分野で広がっている。本講義では、幼稚園、保育所、地域で行われている子育て支援の現状を知るとともに、今子育て支援において何が課題となっているかについて考え、自ら子育て支援を計画、実践する力を身につける。 
授業の到達目標 1.幼児教育、保育施設や地域子育て支援拠点において、参加観察を行うことを通して、子育て支援の実際について体験的に理解する。
2.受講者自らがもつ課題意識に基づいて子育て支援内容の開発、計画、省察を行うことができる。 
授業計画
内容
1「保護者支援・子育て支援の意義」
核家族化の増加など、子育てする家庭を取り巻く環境の変化の中で、多様化する保護者のニーズについて知り、ニーズに応じた保護者支援・子育て支援のありかたについて理解する。 
2「保育所の特性を活かした支援」
親と子ども同士の人間関係を広げ、多様な他者とつながるために保育所が機会や場の提供をしたり、育児講座や体験講座の実施など、地域に開かれた子育て支援のための方法について、具体的実践例を参照しながら理解する。 
3「保育所の特性を活かした支援の実践」
未就園の子どもと保護者を対象とした「子育てひろば」の実施に向けて計画を立て、親同士が交流しやすくなる環境構成や子どもに経験させたい遊びなどを具体的に構想し、実践する。 
4「保護者の養育力の向上につながる支援」
保護者の養育力に応じた適切な支援を行う必要性について知り、家庭の養育力を的確に把握するための手法や個々のケースに応じた支援システムを構築する方法について理解する。 
5「保護者に対する相談援助」
保護者に対する援助と支援の枠組みを理論的に整理した上で、保育士がソーシャルワークを担う可能性を整理し、保育士の専門性と職業的固有性について理解を深める。 
6「保護者支援における面接技法」
子ども・親・家族へのかかわり方の基本,言葉の使い方,面接の場の雰囲気の作り方,信頼感を得るための留意点などを理解する。また、実際のケースを呈示しつつ,面接と見立て,経過の聞き方,事例の読み方などを演習する。 
7「地域における子育て支援−社会資源の活用」
子育てをしている家庭が抱えるさまざまなニーズを充足するために、支援や援助を提供することができる制度について知り、機関・施設・組織、人、技術、知識、資金、物質等の種類やそれぞれの機関がもつ役割や活用法について理解する。 
8「地域における子育て家庭への支援」
厚生労働省による「地域子育て支援拠点事業実施要項」に基づく、公共施設、保育所、児童館、NPO等の施設の役割と機能について理解する。 
9「地域における子育て支援拠点の見学」
すべての保護者及び子どもを対象に「子育て中の親子交流や子育ての不安・悩みを相談できる場の提供・情報提供」を実施している児童館の役割を見学、参加することを通じて理解する。 
10「虐待の予防と対応」
子ども虐待に関する現状と虐待がおきる要因を知り、虐待が疑われる子どもを見つけた場合の速やかな相談(通告)から、地域での見守り・支援や、市町や児童相談所との連携のあり方について理解する。 
11「保護者支援・子育て支援における関係機関との連携」
子どもによりよい保育を提供するために必要となる、関係機関・団体の機能について知り、子育てに関わる各種課題に応じてそれらの機関・団体と協同的に関わりながら問題解決していく方法について理解する。 
12「保護者支援・子育て支援における地域資源の活用」
その地域にあり、保育活動に生かすことのできる様々な要素の地理的資源、文化的資源について考え、京都市にある資源を使った子育てへの活用方法をグループで討議する。 
13「子どもの貧困に対する対応」
我が国が直面する子どもの貧困に関する実態を知るとともに、政府が子どもの貧困に対する経済的支援として実施している、「就学支援制度」や「児童扶養手当制度」の内容を理解する。また、貧困を断ち切るための対策について討議する。 
14「特別な支援を必要とする子どもと家庭への支援」
一人ひとりの障害は様々であり、その状態も多様な為、発達過程や心身の状態を把握し、理解するために必要なスキルについて理解する。それと並行して専門機関との連携、園全体をチームとして、支援していくための方法についてグループで討議する。 
15「これからの子育て支援に向けて」
認定こども園の普及、待機児童解消の推進、地域での子育て支援等、子どもや子育て家庭の状況に応じたさまざまな支援について、講義全体を振り返りつつ、今後の課題について討議する。 
 
テキスト・参考書 幼稚園教育要領(平成30年度改訂)、他は必要に応じて資料を配布する。 
自学自習についての情報 授業で訪問した子育て支援施設の他にも、自ら地域の子育て支援スポットを訪問したり、ボランティアとして参加するなどして学びを深めることを勧める。 
授業の形式 講義、演習、フィールドワーク 
アクティブラーニングに関する情報 グループディスカッション、討議、模擬保育などを適宜取り入れる。 
評価の方法(評価の配点比率と評価の要点) 観察記録の提出50%、授業、討論への参加状況50%で評価する。 
その他(授業アンケートへのコメント含む) 本講義を受講する前に「子育て支援の理論」を受講していることが望ましい。 
担当講師についての情報(実務経験) 担当講師(平井)は、公立幼稚園と国立大学附属幼稚園にて保育者として勤務した経験があり、その経験を生かして保護者が必要とする子育て支援について、具体的な事例に基づいて授業を進め、子育て支援を計画、実践するために必要な内容を含める。